連載企画「立川市民オペラ2023 マスカーニ作曲 歌劇カヴァレリア・ルスティカーナ」を追う」
【vol.1. ソリスト オーディションション会場へ 〜制作プロデューサー宮﨑京子さんが教えてくれたオペラの魅力〜】
年に一度、たましんRISURUホールにて公演される立川市の一大芸術イベントである「立川市民オペラ」。
立川市の記念文化事業として幕を開け、2022年の現在に至るまで16回の公演を行ってきた産、官、民、学が参画する稀に見る形態の市民オペラだ。
2023年は、立川市民オペラ合唱団、一般公募のソリスト、そしてTBSK管弦楽団も加わりステージを盛り上げる。
悔しくも、2020年はコロナ禍の混乱の中で公演を見送ることになったが、以降は感染症対策をしっかりと行い、本番に向けて準備を進めている。
連載第一回目の取材は、制作プロデューサーの宮﨑京子さんにお話を聞きにソリストのオーディション会場であるたましんRISURUホールへ向かった。
オーディション当日はお天気にも恵まれ、清々しい青空が広がっていた
立川市民オペラ2023 ソリストオーディション会場へ
立川市民オペラは本番だけでは無くオーディションからイベントとしてスタートしている。
鑑賞自由のため、オーディションから本番まで、見守り続けることもできるのだ。
会場に足を踏み入れると、ソリスト候補者達が受付を済ませ待合室へと入っていく姿が見られた。
イベントなどで和気藹々としたイメージのあるたましんRISURUホールだが、この日のホールは凛とした空気に包まれていた。
オーディション開始前の舞台上。オーディションは朝から夕刻にかけて行われる大仕事だ
2023年は、4役ダブルキャストの8枠。初日と二日目でソリストの出演者が異なる。
約50人の受験者がピアノ伴奏者を同伴し、出演者となる8人を目指しオーディションに臨んだ。
ソリストオーディションの様子
審査員の目が光る中、オーディションは客席から見守る人たちの姿も見られた。語りかけるような歌声は、言葉は分からなくとも我々の心に訴えかけるものがある。
オーディション結果は後日、立川市民オペラ公式HP、立川市地域文化振興財団公式HPにて発表される。
※現在、公式HPにてソリストの決定の発表があり、本番に向け一丸となり練習に励んでいる
宮﨑さんのオペラとの出会い
約束の時間になると、制作プロデューサーである宮﨑京子さんと、立川市地域文化振興財団の岡崎未侑さんが笑顔で迎えてくれた。
本番前、大ホール入口付近での取材の風景。
(左:立川市地域文化振興財団 岡崎未侑さん、 右:立川市民オペラの会 制作プロデューサー 宮﨑京子さん)
立川市民オペラの制作プロデューサーであり、立川市民オペラ合唱団の講師である宮﨑京子さん。
2011年の立川市民オペラ公演「カルメン」ではミカエラ役でステージを盛り上げた。
ご自身も現役で活動を続けながら、後進の指導と共に地域の文化振興等にも意欲的に活動している。
国立音楽大学で声楽を学んだ宮﨑さんだが、オペラと出会ったのは卒業してからだったという。
きっかけは、オペラを始めて楽しそうにしている友人の誘いだった。
子供のころからスポーツ、ピアノ、ヴァイオリンを続ける中、恩師から「宮﨑くんは歌だろうねぇ」とかけられた言葉が、頭の片隅にずっとあったため大学で声楽を学んだが、
自分の声にコンプレックスがあったそうだ。そのため、オペラに辿り着いたのは最後だったという。
表現する楽しさ×生の声の力
歌に苦手意識があった宮﨑さんの心を掴んだのは、オペラの歌+αである「表現する楽しさ」だった。
楽しさが声のコンプレックスを上回りオペラに魅了されていった宮﨑さんは、藤原歌劇団へ入団。
毎年本場のイタリアで研鑽を積み、各地で公演に参加していた。
オペラの制作に携わり始めたのは、宮﨑さんの夫の恩師であった国立音大名誉教授の砂川稔先生主宰のオペラ(1992年)から、
その後砂川先生*と共に立川市民オペラの制作に携わるようになり、現在では制作プロデューサーとなった。
演じるということは、自分でありながら、別の誰かになりきるということ。
舞台の上で声を出し、表現しきった後の「自分の内側に眠っていた力」に驚きと喜びを感じられる。
加えて、オペラには「生の声の力がある」と宮崎さんは言う。劇場に反響する生の声の力に観客は感動する。
そしてその感動は歌っている側にも伝わり、それが前進するエネルギーとなるのがオペラの最大の魅力だと宮﨑さんは教えてくれた。
文化とオペラ愛を語り出したら止まらない。お二人の後ろには、当日の満員御礼の光景が広がっているようだった
そのエネルギーが、会場全体に広がり、観客側にも伝わるのは言うまでもないだろう。
「プロのソリスト」×「立川オペラ合唱団」×「市民オーケストラ」がお贈りするエネルギー溢れる
立川市民オペラは2023年3月18日(土)・19日(日)に幕を開ける。本番に至るまでの軌跡を、我々立川ビルボードは引き続き追っていきたいと思う。
*砂川先生: 砂川稔氏。2021年まで立川市民オペラの総監督を務めていた。
宮﨑京子さん Official HP
http://www.kyoko-miyazaki.com/
立川市民オペラの会 Official HP
https://tachikawaoperaassociation.jimdofree.com/
立川市民オペラ合唱団 Official HP
https://tachikawaoperachoir.jimdofree.com/
◆連載企画vol.1「立川市民オペラ2023 マスカーニ作曲 歌劇カヴァレリア・ルスティカーナ」を追う」
https://tachikawa-billboard.com/report_list/opera2022_vol1
◆連載企画vol.2「立川市民オペラ2023 マスカーニ作曲 歌劇カヴァレリア・ルスティカーナを追う」
https://tachikawa-billboard.com/report_list/opera2022_vol2
◆連載企画vol.3「立川市民オペラ2023 合唱団員の生の声」
https://tachikawa-billboard.com/report_list/opera2022_vol3
(取材ライター:後藤 直子・natsu)