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連載企画「立川市民オペラ2023 マスカーニ作曲 歌劇カヴァレリア・ルスティカーナを追う」

【vol.3】立川市民オペラ合唱団員に迫る
連載第3回では、vol.1でも話を聞いた宮﨑さんが講師を務める大人の熱い部活、立川市民オペラ合唱団の団員に迫る。

2022.12.05

スタートラインは「オペラをやりたい!」気持ち

立川で長年続く合唱団、立川市民オペラ合唱団。

今回は宮崎さん、そして若手2人に話を聞いた。
最年少現役女子高生団員の四蔵めぐみさん、そして男性団員である紺野智さん。
紺野さんは2012年トゥーランドット公演の広告を見て、四蔵さんは2021年演目であるトゥーランドットハイライト&ガラコンサートのアーカイブ配信映像を視聴して、立川市民オペラの存在を知ったことから入団している。

 

四蔵めぐみさん、宮崎京子氏、紺野智さん(写真左から)

めぐみさんは、普段は音楽高校に通っており、恩師が携わるオペラ公演を観に行った時に市民オペラの存在を知り、「自分も市民オペラの活動に参加したい!」という気持ちが湧き、通いやすい場所で活動の場を探していたところ立川市民オペラに出会い、入団したという。

「コロナが流行し始めた頃に入学しほとんどの学校行事が中止、授業やレッスンがオンラインになった中で、立川市民オペラ合唱団でも活動はとても学びが多くありがたかったです」。

立川市民オペラ合唱団の「心で感じる学び」がとても楽しいそうだ。

男性団員の智さんは元々イタリア歌曲が好きで声楽に親しんでおり、2012年に上演された「カヴァレリア・ルスティカーナ」の時に入団した。

皆で同じ目標に向かっていく一体感と達成感、舞台の上で様々な人物を演じることで普段の自分ではない非日常の自分に出会える高揚感が何よりの魅力だという。

年齢差を感じさせない「オペラが好き!」を軸として集まったユーモアあふれるメンバーで、「練習においてもそれぞれの表現に個性があり面白い」と話す。
最年少のめぐみさんも先輩団員に遠慮することなく、「孫のよう、娘のように接してもらえる居場所」と語る。

vol.1で話を聞いた制作プロデューサーの宮崎京子さんは立川市民オペラ合唱団の講師だ。

設立当初は、年配の方が多く、演技の中で男女で手を繋ぐことにも恥じらいがあったが、近年は若年層が増えたこともあり活動の色々な側面で積極性が増したという。

 

毎年公演し続けることが大切

「年が明けたら立川市民オペラ!」

立川市民オペラは、立川の一大イベントとしてしっかりと市民の意識に根付かせることも目標に掲げている。

その活動の中核を担っているのが、立川市民オペラ合唱団だ。

立川市民オペラ合唱団の前身は2003年に開校した3年間限定の「市民オペラ学校」だった。

その時のメンバーが主体となり、現在の立川市民オペラ合唱団が発足する。

その後、2公演を経て2008年に立川市民オペラの会が設立。

2020公演はコロナの影響で悔しくも中止となったが、立川市民オペラの会は発足当初より、毎年公演を積み重ねている。

だがコロナ禍では、公演までの段取りも練習方法もいつも通りにはいかず、週に1度の集合練習の体制に戻るまでは、リモート録音、配信、個人練習の日々が続いたそう。

そんな状況も経験し迎えた今年の特別公開練習。

ホールを突き抜けるあの、1本の筋のような歌声は、コロナ禍の不測の事態でも、歩みを止めず積み重ねてきた練習の賜物であったのだな、と改めて感じるものだった。

特別公開練習を経て

2人は、特別公開練習のマッスィミリアーノ・ピッチョーリ氏の表現力豊かな指導を受け、

「心を開き、表現することの大切さ」

を改めて感じ、物語の場面の情景、登場人物に気持ちを重ねて表現していけるよう、本番まで練習を重ねていこうと感じたそうだ。

2人から直接、感想をもらった。

めぐみさん「ただ楽譜通りに歌うのではなくその先にあるそれぞれの役の『心』を、声を通してお客様にお届けできるようになりたいと思いました」。

智さん「マエストロ(指揮者)が表情豊かに指揮してくれたので、私達も自然と気持ちを込めて歌うことが出来たと思います。

カヴァレリア・ルスティカーナの音楽がとても活き活きとしていて、楽しく有意義な時間でした。

音楽を通してそれぞれの人物がどのような状況に置かれ、どんな感情を持っているのかを考えながら、表現出来るように練習を重ねて行きたいと思います」。

2人の言葉は、日常生活で正しさや忙しさに囚われている私たちに「心の在り方」を投げかけるようにも感じられた。

芸術というものは、単なる癒しや美しさではなく、心の在り方を問うものでもあるのかもしれない。

だからこそ、立川市民オペラ合唱団はユーモアに富んだ団員が多く、のびのびと自分らしくいられる居場所なのではないだろうか。
合唱団では随時団員募集中。特に男性団員は”大”募集中だそうだ。

特別公開練習の際にピッチョーリ氏を囲んでの1枚

もしかすると、いつか、読者の皆さんも舞台の上で歌っているかも?
新たな出会いと、まだ見ぬ自分に会いに、皆さんも立川市民オペラ合唱団の扉を叩いてみてはいかがだろうか。

◆立川市民オペラ
https://tachikawaoperaassociation.jimdofree.com/

◆立川市民オペラ合唱団
https://tachikawaoperachoir.jimdofree.com/

◆連載企画vol.1「立川市民オペラ2023 マスカーニ作曲 歌劇カヴァレリア・ルスティカーナ」を追う」
https://tachikawa-billboard.com/report_list/opera2022_vol1

◆連載企画vol.2「立川市民オペラ2023 マスカーニ作曲 歌劇カヴァレリア・ルスティカーナを追う」
https://tachikawa-billboard.com/report_list/opera2022_vol2

◆連載企画vol.3「立川市民オペラ2023 合唱団員の生の声」
https://tachikawa-billboard.com/report_list/opera2022_vol3

 

(取材ライター:natsu)