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連載企画「立川市民オペラ2024ドニゼッティ作曲 歌劇『愛の妙薬』」 vol.1 立川市民オペラの会市民委員に迫る

立川ビルボードは昨年、「立川市民オペラ2023 マスカーニ作曲 歌劇 カヴァレリア・ルスティカーナを追う」と題して練習から公演までをお伝えした。

今年も来たる2024年3月23日(土)、24日(日)に開催される「立川市民オペラ2024 ドニゼッティ作曲 歌劇 愛の妙薬」を追いかけ、お伝えしていく。

第1弾は、立川市民オペラの会で委員として年間を通して活動している小杉幸子さん、芦澤清子さんに話を聞いた。

2023.11.01

立川市民オペラとは
立川市でのオペラの制作・公演を通して地域の文化振興を進める市民による団体。

産(立川市内企業・商店等)・官(立川市地域文化振興財団・立川市)・民(市民)・学(国立音楽大学)が連携し、立川市民オペラを企画・制作、主催している。

 

立川市民オペラの会委員の活動
委員の活動で目指していることは、「自分たちなりのお手伝いを通して、多くの方にオペラを身近に感じてもらう」こと。

そのために、年に数回ある立川市民オペラの会の会議に参加し、気軽に誰でも手に取り読むことができる広報紙「立川市民オペラ通信」の作成や、

市内企業や商店等へチラシ設置やポスター掲示の協力依頼などを行っている。

直接依頼にうかがうことができない場合、小杉さんは手書きの手紙を添えて「立川市民オペラ通信」などを30通以上送付している。

「立川市民オペラ通信」の編集では、当初慣れないパワーポイントの操作をインターネットで調べ、試行錯誤して覚えた。

「わからない→調べる→わかる→できる」この流れが楽しい、と委員21年目の小杉さんは言う。

芦澤さんは、ソリストオーディションにて、受験者を舞台袖まで案内する役割も担った。

委員になるまではソリストをオーディションで決めることを知らなかったが、この時は受験者の緊張感がひしひしと伝わってきたそうだ。

 

委員となったきっかけと活動を始めてみて
二人は立川市在住で小杉さんは立川市民オペラの会発足時からのメンバー、芦澤さんは小杉さんからの誘いで2年前から参加。

二人ともそれまで音楽を聴くことはあっても、自ら奏でることやイベント運営には縁がなかった。

ただ、国立音楽大学の近くに住んでいることもあり、学生が練習している楽器の音や歌声が普段の生活の中で聞こえてきたり、

地の利を生かして大学の講堂で開催される学生のオペラ公演に足を運んだりしていた。

そんな二人が委員になったきっかけやその後について聞いた。

小杉さん
「2002年に知人から、地元の合唱団をつくるから、と誘われ名前だけのつもりで参加。

ちょうどそこへ『合唱から学ぶ、市民オペラ学校開校。立ち上げ市民スタッフ募集』の話が届き、説明会へ参加。

『楽しそう!』と直感し、参加を即決。

手さぐりで始めた委員活動。

未知の世界に飛び込むことは不安ではなく『ワクワク、ドキドキ』で楽しい。

何も知らなかったオペラだったが、DVDや本などを通して知識を得て、次第に大好きになり、ますます知りたくなる。

合唱団、ソリストの練習見学では活き活きと歌う姿を間近で見て、心が感動で『ビリビリ、バリバリ』する。

椅子に座り長時間見ていると『飽きない?』と聞かれることもあるが、楽しさや幸せを感じ飽きることはない。

多くの方に公演へ来ていただくことは簡単ではないが、一度見ていただくことでオペラのすばらしさを実感いただけると思い、

ひたすら誘い続けている。実際、『貴方のおかげでオペラの楽しさ、すばらしさを知りました』と感謝してくれる友人、知人も多くいる」。

委員活動について「楽しい」と語る小杉さん

芦澤さん
「お店を営んでいた頃、小杉さんが立川市民オペラのチラシやポスターを持参し、掲示協力のお願いにきたことが出会い。

しばらくは、立川市民オペラの認知度向上の協力依頼をする側と、依頼を受ける側という関係が続いていた。

次第に委員活動が忙しくなった小杉さんから委員活動をいっしょにやらないか、と電話を受けた。

もともとジャンルにとらわれずスポーツ、コンサートなどを観ることが好きで国立音大のオペラにも足を運んでいたことや、

ちょうどその頃お店をたたんで時間に余裕ができたことから承諾。

観たことはあってもほぼ未知の世界のオペラではあったが、小杉さんが楽しく活動している姿を見て、不安なく参加できた。

今ではオペラをもっと深く知りたくなり、近くの学習館で開かれるクラシック音楽の講座も受講している」。

ジャンルにとらわれずに「観る」ことが好きな芦澤さん

 

委員活動を通して得たこと
ただ「楽しそう」から始まった委員活動。

委員活動をしていなければ縁のなかった人たちと関わりが生まれ、特にオペラ界で活躍している人たちとの交流などにより、充実した時間を過ごすようになった。

また、市民委員はオペラの専門ではないが観客視点で気づく力があることは強みであり、オペラをさらに楽しめるようにどう改善すればよいのか発言することができる立場である。

例えば、オペラを観ている間、歌の意味がわからない状態では楽しさは半減すると考え、「字幕」の必要性を伝えるなど意欲的に取り組んでいるそうだ。

共感することが多いという小杉さん(左)と芦澤さん(右)

長年継続できている理由
 委員21年目の小杉さんに継続できた理由をたずねた。

「活動を無理強いされることがなく、自分たちがやりたいと思うことをやっている。

周囲の人たちも気にかけてくれ、忙しい時には『大丈夫?無理しないで』と声をかけてくれる。

そのおかげで安心して活動することができ、続いている。

実は、病気を機にやめる決意をして1年間オペラの会から離れた時があったが、回復し通常の生活を取り戻すと、いてもたってもいられず再度参加した。

その頃からオペラ活動が生きがいのようになっていた」と言う。

家族からも「オペラに関わっている時、オペラの話題に触れている時が一番活き活きしている」と言われるそうだ。

小杉さんも、芦澤さんも、笑顔で楽しく、活き活きと委員活動をされているからこそご家族も応援してくれているのではないか。

 

これから取り組みたいこと
「オペラが1年でも長く続くことに貢献していきたい。また、立川市民オペラ専属の管弦楽団の設立が夢」と小杉さん。
「立川市民オペラを一人でも多くの人に広めたい。そのためにさらに広報活動に力を入れていく」と芦澤さん。
「オペラは難しい、何もわからないという市民にも、観ると楽しいということを味わってほしい。とにかく一度でも足を運んでいただけるよう今後も活動を継続していく」。

小杉さん、芦澤さんは、産官民学が連携して30年以上継続している立川市民オペラを、「民」の立場でこれからも楽しみながら支え続けていかれることだろう。

「多くの市民にオペラを見にきていただきたい」と強く思う小杉さん、芦澤さん

立川市民オペラ2018ヴェルディ作曲 歌劇「椿姫」でのスタッフTシャツ。合唱団員が制作している

立川市民オペラの会

連載企画 「立川市民オペラ2023 マスカーニ作曲 歌劇カヴァレリア・ルスティカーナを追う」
vol.1「ソリスト オーディションション会場へ 〜制作プロデューサー宮﨑京子さんが教えてくれたオペラの魅力〜」

vol.2「立川市民オペラ合唱団 特別公開練習〜オペラの合唱は情景の演出〜」

vol.3「立川市民オペラ2023 合唱団員の生の声」

vol.4「TBSK管弦楽団、ソリストに迫る」

vol.5「熱気に包まれた2日間 感動のフィナーレを迎える」

 

(取材ライター:後藤直子)