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留学生が見た立川の文化芸術

多摩地域には大学や専門学校などが多く、海外からの留学生も数多く在籍している。

立川市のお隣、国立市にある一橋大学では、留学生へ向けた日本の伝統的・現代的な文化の理解を深めるための「Explore Japan」という授業が行われている。

この授業では様々な体験プログラムが実施されているが、今年6月、立川市内の2ヶ所で「アート見学」と「マンガ絵を描くワークショップ」が行われ、学生16名が参加した。

2018.07.27

世界各国から集まっている留学生のために、プログラムは英語で進行されるが、昨年の秋から来日しているメンバーとあって、日本語を話せる学生は少ない。

前半のメニューはファーレ立川アートツアー。渡されたミッションカードにクイズの問題が書かれており、その答えを意識しながら作品を巡っていくという、ゲーム感覚で楽しめる企画だ。

彼らを案内していくガイドの解説に、ヒントが隠されている。

 

出発地点に一旦戻り、ゲームの進行説明。

 

「ミッションカードに書かれた内容に沿って写真を撮影してきて、グループごとに発表をする」
「不慣れな街で迷わないようにガイドも同行するが、質問に答えるのみで自ら案内はしない」
などのルールが告知された。

アートマップを見ながら、自力で、各作品の場所やたどり着くためのルートを探す。

クイズの答え、ゲオルギー・チャプカノフ(ブルガリア)の作品「立川の動物たち」は、ツアーで見学した「羊」の他に「馬」と「犬」の2作品がある。

3つそれぞれが離れた場所に設置されているが、どのグループもスムーズに見つけることができた。

 

次は、自分たちが一番好きな作品を撮影しにいく。

ガイドツアーの中で気に入った作品へ向かうグループ、まだ見ていない作品を探すグループ、あえて誰も行かないであろう場所を目指すグループなど、それぞれ独自のコースでアート探しを楽しんでいる。

ガイドツアーでは、「ファーレ立川のアートには触ったり腰掛けたりしてもいいのだ」という説明を受けた。

「五感」を駆使して、全身で作品を感じ取ってほしいと伝えられていたので、みんな自由に作品に溶け込んでいく。

 

なんとも面白い写真がたくさん集まった。

 

人気投票で上位に選ばれた写真のグループには、ファーレアートがデザインされた賞品が贈られ、アート見学は終了した。

 

後半の会場は、立川駅南口徒歩15分ほどの所にある人気施設「まんがぱーく」。この施設で、マンガ絵を描くワークショップに参加する。

日本のマンガは海外でも大きな支持を得ている。絵の技術の高さやストーリーの面白さに加え、共感できる身近な題材であること、大人でも楽しめる作品が多いことなどが人気の理由だという。

まんがぱーくには英語版コミックスのコーナーもある。

 

ここで定期的に行われている「マンガ絵の描き方教室」の指導者、漫画家の戸城イチロさんに描き方を教えていただく。

顔の形や目鼻の位置のとり方など基本の指導を受けてから、実際に描いてみる参加者たち。

 

もともとマンガを描くのが好きだったのだろうか皆、少ない時間の中で、手早く上手に描いていくのに驚く。

 

 

 

最後に意見交換会も行われ、盛りだくさんの一日だったが、帰っていく彼らの満足そうな笑顔が印象的だった。

 

参加者全員が、アートツアーやマンガ体験を「家族や友人に勧めたい」くらい楽しめたという。さっそく親しい誰かに紹介し、紹介された人が既にこの街を訪れているかもしれない。

〜世界へ広がる、立川の文化芸術〜

アートと街づくりの視察に訪れたり、日本国内の芸術祭へ行く途中で立ち寄ったり、海外から立川の街を見に来る人々は年々増えている。

「JICA(国際協力機構)の研修で訪れた各国の公務員」

「ボランティア支援員として新潟の芸術祭へ向かった香港の学生チーム」

仕事や学業など様々な目的で海外から来訪した人々が、ここで何かを見て、体感して、世界へと発信していく。
その動きは今後ますます速く、範囲も広くなっていくことだろう。