
TACHIKAWA
BILLBOAD
PLAY! MUSEUM
「大どろぼうの家」制作 参加クリエイター
・名久井直子さん(アートディレクター)
―会場アートディレクション
・嶽まいこさん(イラストレーター)
―ビジュアル制作
・張替那麻さん(建築家)
―会場デザイン
・伊野孝行さん(イラストレーター)
―「緑の回廊」肖像画制作
・幅允孝さん(ブックディレクター)
―「青の応接間」ブックディレクション
・ヨシタケシンスケさん(絵本作家)
―「トリコロールの廊下」絵本描き下ろし
・新井風愉さん(映像作家)
―「光の蔵」ディレクション
左から草刈大介さん、名久井直子さん、張替那麻さん、伊野孝行さん、幅允孝さん、ヨシタケシンスケさん、新井風愉さん、谷川賢作さん
「家が主役だと思った」名久井直子さん
メインビジュアル ©Maiko Dake
内覧会の冒頭、PLAY! プロデューサーの草刈大介さんは、名久井さんをアートディレクターに指名した理由を「ユーモアを大切にしたいとの思いから」と説明した。
普段はブックデザインを中心に手がける名久井さん。
企画の内容を聞いて、「この展覧会は家が主役だ」と感じたという。
そこで、ディレクションするにあたっては、「どろぼうの年齢や性別などはあえてハッキリさせず、存在が感じられる程度のビジュアル」に、また、「どろぼうが盗むものは、どろぼうにとって大切な物や心惹かれる物ではないか」と解釈して作り上げたという。
名久井さんは、本展の関連書籍4冊のブックデザインも手掛けた。
▽「大どろぼうの家」関連書籍
①ヨシタケシンスケさんの新作絵本『まだ大どろぼうになっていないあなたへ』
②谷川俊太郎さんの15の詩と本人不在の家の中の撮り下ろし写真で構成された『谷川俊太郎詩集 星たち 選 大どろぼう』
③展覧会を構成する8つの部屋を描いた物語『大どろぼうの家 文・絵 大どろぼう』
④古今東西のどろぼうの紹介と、「人はなぜ、どろぼうに惹かれるのだろう?」を問う論考『どろぼうたち 編 大どろぼう』
※いずれもブルーシープ刊。①は7月10日より全国書店で販売。②③④は展覧会場で先行販売、8月中旬より全国書店で販売予定。
会場内のショップ
大どろぼうの正体が隠された「8つの部屋」
<展示構成>
・緑の回廊/古今東⻄のどろぼうの肖像画15点と⼭盛りの⾦貨
・⻘の応接間/専⾨書、変装道具、引退を決意した秘密
・赤の隠し部屋/祖⽗、⽗、孫の3世代が集めたどろぼうに関する⼤量のアイテム
・白の小部屋/酒井駒⼦さん、さくらももこさんらのコレクション
・銀の庭/宇宙にあこがれたどろぼうが盗んだ⾕川俊太郎さんの詩
・黒の壁/カラスが集めた⽚⽅だけの靴下コレクション
・トリコロールの廊下/盗まれたヨシタケシンスケさんが描いた絵本の原画
・光の蔵/無数のガラクタや偏愛品の展示と不可能なミッションに挑戦
「私自身が“タッチどろぼう”でした」伊野孝行さん
■緑の回廊
「ビンセンツォ・ペルージャ」絵・伊野孝行さん
大どろぼうの肖像画を描いたのは、著書「画家の肖像」やEテレ「オトナの一休さん」、「昔話法廷」などのイラストを手がけた伊野孝行さん。
「私自身が“タッチどろぼう”でしたね」と伊野さん。
「肖像画ごとにどの画家のタッチが合うだろうか」と考えながら描いたという。
モナ・リザを盗んだ男として知られる「ビンセンツォ・ペルージャ」、ラテン語で泥棒を意味する恐竜「ラプトル」など、15点の肖像画は全てタッチが異なりユーモアとリスペクトにあふれている。
「本によって人柄を伝えられたら」幅允孝さん
■青の応接間
応接間に飾られた蔵書とアイテム
大どろぼうの応接間の本棚にはずらりと蔵書が並ぶ。
他にも変装道具やウィスキー、そしてなぜかバンテリンも並んでいる。
選書を担当した幅允孝さんは、BACH(バッハ)代表でブックディレクター。
公共図書館や病院、学校、ホテル、オフィス、カフェなど様々な人々が集まる場所にライブラリーを制作している。
今回の展示では、「本によって人柄を伝えられたら」と大どろぼうの気持ちを推測し想像を膨らましながら本を選んだという。
仕事の流儀から心の葛藤、心身の疲労まで、じっくり観察すると大どろぼうの本心が透けて見えてくるかも。本は手にとり読むこともできる。
「大どろぼうも盗み忘れたようです」谷川賢作さん/「龍安寺の石庭を参考に」張替那麻さん
■銀の庭
谷川俊太郎さんの庭
建築やインテリア、展覧会デザインなど多岐にわたって活動している張替那麻さんが、庭のデザインを担当。
銀の庭には龍安寺の石庭を参考に配置したという谷川さんの詩が浮かびあがり、座ることができる縁側が庭を囲む。
会場内には、谷川さんの詩の朗読とご子息である音楽家の谷川賢作さんによる音がゆったりと流れていた。
内覧会では、谷川俊太郎さんが晩年、夜になると爪弾いていたというカリンバを、賢作さんが持参。ポロンポロンと音を鳴らして、「このカリンバは大どろぼうも盗み忘れたようです」と笑みをこぼした。
「二十億光年の孤独」の貴重な手書きの原稿が展示されているのも見どころ。
「二十億光年の孤独」の手書き原稿
「大どろぼうを肯定的に捉えられる作品を作れば」ヨシタケシンスケさん
■トリコロールの廊下
「まだ大どろぼうになっていないあなたへ」の原画が展示
引退を考えている大どろぼうは、後継者育成のために「どろぼうを育てる絵本」を作ろうと考え、絵本作家のヨシタケシンスケさんを盗み出し、絵本を描かせることに成功した。
けれど、出来上がった絵本は大どろぼうの狙いを超えるものだった。
トリコロールの廊下には、絵本「まだ大どろぼうになっていないあなたへ」の原画が展示される。
かもしれない新聞(2025年4月1日、ブルーシープ発行)
絵本『まだ大どろぼうになっていないあなたへ』(2025年7月10日、ブルーシープ刊)
©Shinsuke Yoshitake
絵本のラフは2年前に描き始めたという。
「展覧会のテーマであるどろぼうというものを手放しでヒーロー扱いすることはできない。
しかし、私が『大どろぼう』には肯定的に捉えられる面もあるという作品を作れば、会場内にふざけたどろぼうがいても許されるのではないかと思った」とヨシタケさんは語る。
PLAY! プロデューサーの草刈さんもこのアイディアに賛同し、同展の骨格作りにつながったという。
ショップでは、ヨシタケさんの新作絵本とそこから生まれたオリジナルグッズや、“どろぼう”に関連するユーモアあふれる楽しいアイテムが販売される。
カフェでは、「すてきな三にんぐみ」とヨシタケさんの新作絵本をモチーフにしたメニューも提供される。
会場内のショップ
「楽しい部屋にしたかった」新井風愉さん
■光の蔵
どろぼうジムへの子ども用出入口
蔵の中には、大どろぼうの偏愛品やガラクタが大切に展示され、どろぼうを目指す子どもたちのための「どろぼうジム」もある。
空間のディレクションを担当したのは、映像作家の新井風愉さんだ。
どろぼうジムのひとつである「ぬき足 さし足 しのび足」は、音を立てずに通路を通り抜けるためのトレーニングジムだが、新井さん自ら実演してみせ、ユーモアを感じさせる音の仕掛けに会場内は笑いに包まれた。
赤外線をイメージした線が張り巡らされた小部屋。引っかかると大きなブザーが鳴り響く
ミッションをクリアすると秘密のメッセージが聞ける
「展覧会最後の部屋は楽しい部屋にしたかった。大人たちは収集品を楽しみ、子どもたちは仕掛けを楽しむといったふうになればいいなと思いました」。
街中に大どろぼうあらわる! 地域とのタイアップ企画「宝物いただきました」
今回、展覧会と連動した地域とのタイアップ企画「宝物いただきました」も同時開催される。
大どろぼうは、後継者探しを目的に、多くの人に自分の留守を知らせ家に忍び込ませようと計画、お気に入りの場所から物を盗み、それと引き換えに自宅住所が書かれた名刺を置いて帰ったという設定だ。
盗み出された「お宝」は会場内で展示される。
PLAY! MUSEUMが地域と連携、貢献できるような活動をしたいとの思いから企画され、立川市を中心とした公共施設、商業施設、飲食店など計43か所が参加している。
大どろぼうの家 関連企画「宝物いただきました」参加場所マップ
▽タイアップ企画「宝物いただきました」/WEBサイト
https://play2020.jp/article/dorobou-treasure/
ルミネ立川にも出没!? PLAY! がルミネ立川とコラボ企画
ルミネ立川とPLAY! が「大どろぼうの家」展に合わせてコラボ企画を開催する。
■PLAY! MUSEUM×ルミネ立川「大切なものが盗まれた!」
ミッションをクリアすると、もれなく「どろぼうステッカー」がもらえる。
【開催期間】7月16日(水)~9月28日(日)
【ミッション】(1)ルミネ立川で配布される大どろぼうの名刺カード3枚を集め、PLAY! MUSEUMの「大どろぼうの家」展に来場すると、もれなく特別な「どろぼうステッカー」プレゼント。名刺カードの配布場所は、館内2Fインフォメーション、2F BEAMS、8Fオリオン書房の3か所。 まずは、2Fインフォメーションへ。
(2) PLAY! MUSEUMにてルミネ立川から盗まれたアイテムのうち1点を写真撮影し、2Fインフォメーションに提示すると、別タイプの「どろぼうステッカー」プレゼント。会場内に展示されているルミネ立川のアイテムには目印が付いている。
■出張開催! PLAY! PARK×ルミネ立川 ワークショップ「ハートどろぼう⼤作戦」
PLAY! PARKで開催される「大どろぼうの家」関連イベントが、ルミネ立川で出張開催。参加した子どもたちがミッションをクリアするとプレゼントがもらえる。
【開催日程】8月23日(土)/24日(日)の2日間限定
【ミッション】ルミネ立川で一斉公開される様々なハートを見つけ出しミッションをクリアするとハートバルーンがもらえる。
【参加対象】3歳~小学生の子どもたちとそのご家族
【定員】各回20名
【参加方法】ONE LUMINEにて事前予約制。※ONE LUMINEにて「よく行くルミネ」にルミネ立川を登録し、ルミカードを連携ください。※参加費無料。※定員に達し次第終了いたします。
ルミネ立川で配布される大どろぼうの名刺カード(ルミ姉デザインの配布は8/6まで)
8Fオリオン書房は、ヨシタケシンスケさんのコーナーとレジカウンター横に名刺カードを設置
▽PLAY! MUSEUM×ルミネ立川 コラボ企画/WEBサイト
https://play2020.jp/article/lumine-dorobou/
晴れの日も雨の日も、子どもが自由に遊べるPLAY! PARK
PLAY! MUSEUMに併設するPLAY! PARKでは、「大どろぼうの家」展に合わせて関連イベントを開催する。
■大どろぼうマジックハンド
段ボールを使ってマジックハンドを作るワークショップ。マジックハンドが出来上がったら、色々なものをつかんで遊ぼう。
【開催期間】7月16日(水)~9月28日(日)
【開催時間】日替わりで開催。平日:14:30-15:10 土日祝:①11:30-12:10 ②14:30-15:10
※夏休み特定期間の7月22日(火)~ 8月24日(日)は休日扱い
【参加対象】3~12歳の子ども
【定員】10名
大どろぼうマジックハンド(提供:PLAY! )
■ハートどろぼう大作戦
PARK内に隠されている様々な形の“ハート”を、子どもたちが「ハートどろぼう」になってみんなで力を合わせて探し出す、全員参加型の遊び。
【開催期間】7月16日(水)~9月28日(日)
【開催日程】土日祝の夕方に不定期で開催(16:30-16:45頃)
【参加対象】全年齢
【定員】なし
ハートどろぼう大作戦(提供:PLAY! )
▽PLAY! PARK「大どろぼうの家」関連イベント/WEBサイト
https://play2020.jp/article/park_dorobou/
PLAY! PARKは子どもが自由な発想で遊べる屋内広場だ。
手塚建築研究所によってデザインされ、約1000m²の広さがある。
場内にはクリエイターや学生たちと共同開発した遊具が設置、3か月~半年ごとに入れ替わり、子ども連れのための設備も充実している。
現在は、緩衝材「プチプチⓇ」を使った大型遊具「Let’s! PLAY! PUTIPUTI!」が登場中。
各種ワークショップは毎日開催されている。
当日券販売と入場予約あり。
大型遊具「Let’s! PLAY! PUTIPUTI!」/プチプチに埋もれたり、ブランコのように揺れたり、“家では出来ないあそび”が思いきり楽しめる(提供:PLAY!)
▽PLAY! PARK/WEBサイト
https://play2020.jp/park/
夏の思い出に、大どろぼうを体験してみる
同展は、肩肘張らずにアートが体験できる展覧会だ。
「大どろぼう」の物語に入り込んだような気分で、非日常的な空間を楽しむこともできるし、哲学的に“どろぼう”や”人“の不思議を考えてみることも面白いだろう。
私は「大どろぼう」に”愛“を感じたが、来場者の皆さんはどう感じるだろうか。
暑すぎる今年の夏、屋内で遊べるPLAY! MUSEUM やPLAY! PARKは外出先としてお勧めだ。
■PLAY! MUSEUM/「大どろぼうの家」展
会場:PLAY! MUSEUM
会期:2025年7月16日(水)―9月28日(日)無休
開館時間:10:00-18:00(入場は17:30まで)
入場料:一般1,800円/大学生1,200円/高校生1,000円/中学生600円/小学生600円
*当日券で入場できます。土日祝および混雑が予想される日は事前決済の日付指定券(オンラインチケット)を販売します
◯割引制度(併用不可)
①[立川割]一般 1,200円/大学生700円/高校生600円/中学生400円/小学生400円
*立川市在住・在学を確認できる免許証、学生証等をご提示ください
②[障害者割引]障害者手帳をご提示の方とその介添人1名は半額
③[PLAY! 割]PLAY! PARKのレシートをPLAY! MUSEUMでご提示いただくと、当日に限り「一般」のみ当日券を200円引きで購入できます(オンライン購入不可)
*いずれも税込
*未就学児無料
▽「大どろぼうの家」展/WEBサイト
https://play2020.jp/article/dorobou/
▽PLAY! 施設/WEBサイト
https://play2020.jp/visit/
(ライター・岡本ともこ)