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不思議がいっぱいの「安野ワールド」を体感!生誕100周年から次の未来へhttps://play2020.jp/article/anno/

PLAY! MUSEUMで、「生誕100年記念安野光雅展」がスタートした。2026年5月10日(日)まで。

本展では、代表作の貴重な原画・約130点を厳選して展示。
加えて、オリジナルのスライドショーや絵本世界を体験できる大空間、一枚の絵として原画を鑑賞する絵画館、影響を受けたクリエイターらによる映像メッセージなど、100周年にふさわしいラインナップになっている。

2026/03/04 (水) 2026/05/10 (日)
開催場所

PLAY! MUSEUM

2026.03.18

所蔵:津和野町立安野光雅美術館

安野光雅/1926年-2020年
島根県津和野町生まれ。1950年に上京、図画工作の小学校教員をつとめる。

1961年に画家として独立し、1968年、文字のない絵本「ふしぎなえ」で絵本作家としてデビューする。

科学や文学にも造詣が深く、画家・絵本作家・装幀家・文筆家など、多彩で独創的な作品を発表し続けた。

海外でも翻訳され、国際アンデルセン賞やボローニャ国際児童図書展グラフィック大賞など国内外で高い評価を受けた。

2001年、故郷・津和野市に「津和野町立安野光雅美術館」が開館。

 

あれ?―不思議を感じる―
本展は、初期三部作「ふしぎなえ」「さかさま」「ふしぎな さーかす」の原画展示から始まる。

安野さんは子どもの頃から空想や不思議が大好きで、鏡に映り込む風景が面白くて何時間も飽きずに覗きこんでいたという。

これらの絵本は、きっと子どもたちに伝わるという思いを込めて描かれた。

「ふしぎなえ」1968 年 (福音館書店) 所蔵:津和野町立安野光雅美術館 ©空想工房

館外で展示されることは稀だというデビュー作「ふしぎなえ」の原画が並ぶ

 

ニヤリ―絵本を体感する―
2つ目のセクションでは、「おおきな ものの すきな おうさま」の原画全点と絵本に登場する大きなお皿とカトラリーのオブジェが展示されており、記念に写真を撮ることもできる。

安野さんが絵と物語の両方を手がけたこの作品には、「プッ」と笑ってしまうユーモアだけでなく、子どもたちに忘れて欲しくない大切なメッセージも添えられている。

「おおきな ものの すきな おうさま」の一場面

大きなオブジェ/お皿から顔を出してパチリと撮れる

まてよ―安野絵本の真髄―
3つ目のセクションは、天動説を巡る苦難の歴史が描かれた「天動説の絵本」の原画と映像展示だ。

当初は原画の全点展示の予定だったが、安野さんが「作品は絵本であり、原画はその材料の一つだ」と話していたことから、展覧会だからできる表現方法としてスライドショーを制作したという。

「天動説の絵本」〈表紙〉1979年 (福音館書店) 所蔵:津和野町立安野光雅美術館 ©空想工房

「天動説の絵本-てんがうごいていたころのはなし―」
朗読:ウチダゴウ、映像制作:岡本香音、録音・沢口克斗

 

発見―凝視せよ―

「旅の絵本」シリーズ・イギリス編の展示風景

4つ目のセクションは、多くの人を魅了し続ける名作「旅の絵本」シリーズの1つ、「イギリス編」の原画全点が展示されている。

世界各地の美しい街並みや自然の風景、人々の暮らしが描かれたこのシリーズは、「千ほどの物語をつめた絵本を描きたかった」と安野さん自身が述べている。

絵本を印刷する際に一番難しかったのが「緑の色」と話してくれたのは、安野光雅美術館館長・大矢鞆音さん。

本展では、原画ならではの透明感ある色彩を間近で観ることができる。

「旅の絵本 III」〈イギリス編〉1981年 (福音館書店) 所蔵:津和野町立安野光雅美術館 ©空想工房

「旅の絵本 III」〈イギリス編〉1981年 (福音館書店) 所蔵:津和野町立安野光雅美術館 ©空想工房
続く大きな楕円形の展示室では、安野さんが本作を描くきっかけとなった「飛行機が着陸する前の、期待に満ちた風景」(『旅の絵本』中部ヨーロッパ編 /福音館書店)をキーワードに、絵本世界を窓越しに覗きこむ体験ができる。

会場全体のデザインを担当したima(小林恭+マナ)さんは、「安野さんが旅の中で感じた気持ちを追体験できるようにしたかった」と語っている。

絵本の中の建物の窓をイメージしてくり抜かれている

壁面には大きく引き伸ばした原画展示。まるで夢の中の世界

また、加藤久仁生さんによるアニメーション作品も展示。

映像は冒頭、原画の一部分のみ映し出され、次第に視界が広がりながらモノクロの世界に色彩がついていく。

この作品は、絵を単にアニメーション化することが目的ではなく、「絵をよく観るということ」を伝えるために制作されたものだという。

「見つける 旅の絵本 安野光雅」アニメーション:加藤久仁生/原作:『旅の絵本』(安野光雅・作、福音館書店・刊)/制作:島根県立美術館

画家―絵画館―
最後のセクションは、安野さんを敬愛し、交流もあった本展キュレーターの林綾野さんが、画家・安野光雅の画力や表現力に光を当てて、新たな視点で選び構成した特別展示「絵画館」だ。

絵本や挿絵の一場面を取り出し、一枚の絵画として味わうという試みがなされている。

「繪本 平家物語」1996年 (講談社) 所蔵:津和野町立安野光雅美術館 ©空想工房

「絵画館」展示風景

 

未来へ―先生へ―
空想や不思議への眼差しを持ち、文字のない絵本を生み出すなど、パイオニアだった安野さんから影響を受けたクリエイターらのインタビュー映像「先生へ」を上映し、安野さんから受け取ったバトンを未来へ託す。

インタビュー映像「先生へ」展示風景

 

「目の前のものをよく見ること」と「想像すること」はつながっている
「よく見ること」は、本展のテーマのひとつになっている。

安野さん自身、対象をよく見て観察し、そこから不思議や美しさや本質を発見して描いていたのではないだろうか。

来館する際は、比較的空いている時間帯に訪れて、ゆっくり観て回ることをお勧めしたい。

左から林さん、大矢さん、草刈さん/内覧会にて。「心を開いて、自分の目で見て、自分で感じて欲しい」と林さん

 

展覧会オリジナルグッズとメニュー
本展SHOPやCAFEでは、オリジナルグッズやカフェメニューが楽しめる。

特におすすめは、展覧会公式図録だ。

安野光雅展で図録が出されることはほとんどないということで、特別な機会となりそうだ。

本展を観覧して、もっと安野作品を深めたいと思った人や身近に置いて眺めたいという人など、注目していてほしい一冊だ。

展覧会公式図録(会場限定販売)/展覧会と連動したブックデザインも魅力的

 

PLAY! PARKにて、関連ワークショップが毎日開催
PLAY! MUSEUMに併設するPLAY! PARKでは、本展会期中、関連ワークショップ「どうやって作ったの?」を毎日開催する。

※参加費は無料(別途PLAY! PARK入場料)

安野さんの絵本「さかさま」(福音館書店)の絵から着想を得て、特別なトランプパーツを使って、現実ではありえないトランプタワーを作ってみようというワークショップだ。

積み上げたり崩したり、手を動かして楽しめるあそびになっている。

左から、PLAY! PARK広報担当の水野さんと企画担当の小栗さん
また、株式会社オーディオテクニカとのコラボイベント「音の動きにのってあそぶ! Let’s! PLAY! SOUND with Audio-Technica」も開催している。

4月26日(日)までの3か月限定。
※各コンテンツ不定期開催 ※参加費は無料(別途PLAY! PARK入場料)

みんなで音ダンス/提供:PLAY!

詳細は、下記のPLAY! PARK公式サイトまで。
https://play2020.jp/article/park_anno/

■生誕100周年記念 安野光雅展
会期:2026年3月4日(水)ー 5月10日(日)*会期中無休
会場:PLAY! MUSEUM(東京・⽴川)
主催:PLAY! MUSEUM
特別協力:津和野町立安野光雅美術館
協力:福音館書店
キュレーター:林綾野
会場構成:設計事務所 ima
会場グラフィックデザイン:ido LLC


詳細は下記のPLAY! MUSEUM公式サイトをご覧ください。
https://play2020.jp/article/anno/

(取材ライター/岡本ともこ)

会場地図