和田愛香:Aika Wada女優https://www.instagram.com/wada_aika1007/
撮影:阪上恭史
国分寺駅南口の坂道を下ったところに、緑と解放感あふれるカフェがある。
ここで、4月に一人芝居が上演された。
主演女優の和田愛香さんは、演劇系の短大を卒業後は様々な劇団の客演に精力的に出演し、その後2021年まで芸能事務所に所属。
退所後の現在は、一人芝居を中心に活動中で、公演場所は商店街、教会、カフェなど多岐に渡る。今回は「地元の国分寺で芝居をしたい」という思いから、同所で企画した。
正に“変幻自在” 次々変わる登場人物
舞台中央にはイスが一つというシンプルな空間。暗転し、再び照明がつくと和田さんが座っていた。いよいよ開幕である。芝居はオムニバス形式の4本立て。全て登場人物が違う。
演題:AIをフルボッコ、愛をフルスイング宣言!(女優役)撮影:阪上恭史
演題:フードファイター (フードファイター役)撮影:阪上恭史
演題:~世界文学タイトルシリーズ~ねじの回転(ねじ役)撮影:阪上恭史
演題:お兄ちゃんの樹(記念樹役)撮影:阪上恭史
写真を見ての通り4者4様、個性が溢れる。
芝居が終わると一旦下手側の袖にはけ衣装チェンジ。
その間、わずか5分ほど。このわずかな時間の間に、瞬時に役へ没入し、気持ちが切り替わるという。
今回は4話目の役『樹』の役作りについて聞いた。
「書いて描いてかきまくる」という役作り
まずは、イメージを深めていく作業。セリフを紙に書きだすところから始まる。
ここは客席に向かって語りかける、ここは自分の心情を吐露する。
一つ一つこのセリフはどういう意味なのかと細かく考えていく。
また文字をおこすだけでなく、劇中に樹が成長していくため、その成長具合や植えられている庭、見守る家族の姿などを絵に描いてイメージを、よりリアルに膨らましていく。
動いて練習出来るのは、本番一週間前。
それまではひたすらこれらの考える作業を繰り返すという。
一日限り、一夜限りの芝居だが、その何倍も時間をかけた準備や、役作りにただただ感嘆してしまう。
しかし和田さんは笑顔で「ぺんが山盛りになってしまうんです」と目を細めて話す。
本番中に起こったミラクル
和田さんは店内にある窓の前で芝居をしていた。
外には樹が生い茂っており、「お兄ちゃんの樹」の芝居にぴったりの背景になっている。
時折、外で風でゆらゆらとしていた樹木たちが嵐のシーンになると突然“わさわさ”揺れた。
外でスタッフが揺らす演出かと思ったが、外には誰もいないというから驚きだ。
全身全霊で演じる和田さんに風も応援に来てくれたのだろう。
演目の最後、和田さんと来場者で唱和した。
「てっこ/つないで/あばいん/愛してます(手をつないでいきましょう。愛してます)」。
宮城県出身、仙台在住でこの芝居の演出家・高山広さんの合言葉だそう。
クリスチャンでもある和田さんは、教会を劇場にした公演も行っている。
芝居を好きになったきっかけも、小学1年の時の学芸会だった。
聖書を元にしたミュージカルで羊の役を演じたのが、人生初の体験だった。
教会では小人を主役にした絵本を、自分で脚色した一人芝居。
光射しこむステンドグラスを背にして、何役も演じていた。
コロナを乗り越えて。そしてこれからの夢
2020年に一人芝居デビューをしたが、その後コロナが蔓延してしまう。
やりたいけどやれない、思うように芝居が出来ない時期が続く。
エンタメ業界には苦しい数年間だった。
しかし両手いっぱいに広げ、演じている和田さんを見ると、「世界に日常が帰ってきたんだな」と改めて感じさせてくれる。
今後学校や老人ホームなど、普段、演劇を見ることが少ない場所で演じることを目指す。
ギター教室にも通っているそうで、いつか舞台上でギターの生演奏を聴けるかも知れない。
そして夢は、自身で書いた脚本で、オリジナルの作品を創ることだ。
撮影:阪上恭史
舞台とは違った、もう一つの顔
和田さんはラジオパーソナリティーとしても活躍する。
第4金曜日に21時半からTokyoStarRadio(八王子FM)。
ゲストで経営者を呼んで、「経営再建士」さんと会社の経営についてや悩みなど普段なかなか聞けない話を放送中。
アプリのListenRadio(リスラジ)からも視聴可能だ。
<和田愛香プロフィール>
桐朋学園芸術短期大学を卒業後、舞台を中心に活動。
2020年より高山広指導の下、一人芝居を展開中。
癖のあるキャラから繊細な女性像まで、見た目からは想像もつかない独特なワールドで魅了する。
また現在TokyoStarRadio(八王子FM)にてアシスタントとパーソナリティーもつとめている。
X:@aika_8330
instagram:wada_aika1007
mail:kinmokusei9217@gmail.com
<取材協力場所>
CafeSlow カフェスロー
東京都国分寺市東元町2-20-10 042-401-8505
国分寺駅南口から徒歩5分
<カフェ営業時間>
ランチ 11:00~15:30
ティータイム 15:30~17:00
※夜イベントのある土曜日は15:00閉店
※イベントの情報についてはHPをご確認ください
※月曜定休
(取材ライター:永田容子)