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映画がつないだ立川とワルシャワ、ミシュラン星付きシェフと一夜限りの晩餐https://www.aubergetokito.com/

立川の「オーベルジュときと」で6月5日、ポーランド・ワルシャワからレストランターとシェフを迎えた一夜限りのコラボレーションディナーが開催された。

来日したのは、ワルシャワで複数のファインダイニングレストランとワインショップを展開するFerment Group代表、レストランターのダニエル・パヴェウェク(Daniel Pawelek)氏。そのグループの代表格でミシュラン1つ星レストラン「Rozbrat20」から、ヘッドシェフ兼共同オーナーのバルトシュ・シムチャク(Bartosz Szymczak)氏が招かれ、ときとの料理人たちと「Poland meets Japan」と題した特別なコースを共に作り上げた。レストランターとは、料理人ではなくレストランそのものを企画・経営するプロデューサーのことを指す言葉で、ダニエル氏はForbes誌とMade for Restaurantによってポーランドのベストレストランター2022・23年に選ばれている。

2026/06/05 (金) 2026/06/05 (金)
開催場所

Auberge TOKITO

2026.06.17

Ferment Group代表、レストランターのダニエル・パヴェウェク氏

両者をつないだのは、一本の映画だ。オーベルジュときとを題材にしたドキュメンタリー映画「ときと——革新の料理人たち、540日の記録」がワルシャワ映画祭に選出されたことがきっかけで、ダニエル氏との縁が生まれ、この夜へとつながった。

Rozbrat20は、ポーランドの伝統料理を現代的な技法と発酵の探求で再構築するレストランとして知られる。華美な演出よりも素材の質と調理の精度を大切にするときとのあり方と自然と重なる。

コースは、二つの食文化が対話するように構成された。「素のもの」は白粥にポーランド産低温圧搾菜種油と多摩川産たんぽぽのつぼみの菜種漬けを添えた一品で、”にえばな”と名付けられていた。にえばなとは、茶懐石で1番初めに供されるコメが炊き上がる直前の絶妙なタイミングのこと。香りも風味も最高潮の、素材が最も美しい瞬間を指す。供されたらすぐに食べてほしいと言葉が添えられた、それがこの夜のはじまり。素材も料理も最も輝く瞬間は一度きり。ときとが追求する”その一瞬”の哲学が、最初の皿から宿っていた。

白粥にポーランド産低温圧搾菜種油と多摩川産たんぽぽのつぼみの菜種漬けを添えた「素のもの」

「奥多摩山女のルイベ 山葵アイスクリーム」は、凍ったまま薄切りにされた山女に山葵アイスクリームとキャビアを合わせた。山葵の鋭さとキャビアのコクが重なり、多摩の清流とポーランドの海が皿の上で出会った。

奥多摩の魅力が詰まった一皿。凍ったまま薄切りにされた山女に山葵アイスクリーム、キャビアを贅沢に添えて

表題の皿「Poland meets Japan」は、和牛を包んだピエロギにポン酢ソースを添えたもの。ピエロギはポーランドの国民食で、もちもちとした食感は日本の餃子に近い。両国の味が交互に顔を出すような、融合ではなく共創という言葉がしっくりくる逸品。料理を口にした瞬間、会場から吐息が漏れた。考え抜かれた末に削ぎ落とされた料理は、手が込んでいるのに技術は表に出ない。威圧せず、ただただおいしい。

「Poland meets Japan」は、和牛を包んだピエロギにポン酢ソース添え

この夜を印象づけたのは、ダニエル氏の心遣い。両国の国旗と同じ赤と白のポケットチーフを胸に挿し、自国のキャビアやウォッカをゲスト一人ひとりに提供していった。「ポーランドは益々注目の国」と石井ディレクターが話すように、会場には終始、活気と親しみやすさがあった。
 
“立川から世界へ”を掲げ、子どもや若者に立川から世界へ挑戦できる姿を見せたいと語り続けてきたときと。ワルシャワと立川をつないだこの夜は、その言葉がひとつの形になった“瞬”だった。

料理を仕上げていくバルトシュ・シムチャク(Bartosz Szymczak)シェフと「ときと」の料理人たち

施設内の説明をする「ときと」石井 義典ディレクタープロデューサー

 

立川の歴史を刻む場所、オーベルジュときと

ときとが建つこの場所には、長い歴史がある。1938年、日中戦争下に「ホテル無門庵」として開業し、その後料亭としての形態をとりながら多くの人々に親しまれてきたが、2019年にその歴史に幕を下ろした。無門庵の門や茶室といった意匠を残しながら「食・茶・宿」という現代的な場として生まれ変わったこの空間は、建物の保存にとどまらず、無門庵が築いてきた文化や精神を今の暮らしの中に引き継いでいる。この場所が積み重ねてきた時間を感じながら、新しい体験も同時に提供する場となっている。

 

■「Auberge TOKITO」(オーベルジュときと)
東京都立川市錦町一丁目24番地26
代表番号 042-525-8888
火曜日, 水曜日
https://www.aubergetokito.com/
Instagram
https://www.instagram.com/aubergetokito/(@aubergetokito/)

写真提供:ポーランド政府観光局 @Maciej Komorowski
(取材ライター:Me Time Japan in Tama)

会場地図