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夜に輝くアート〜ファーレ立川〜

オレンジの空へ太陽を見送ると、街は一面の青に包まれていく。

夕闇が濃くなるにつれて、一つ、また一つ、と浮かび上がるアートの数々。あるものは自ら光を放ち、あるものは照らされて、道ゆく人の視界に飛び込む。

JR立川駅北側にある「ファーレ立川」と名付けられた区域は、世界のアーティスト92人が参加した大規模なアートプロジェクトによって生まれ変わった街だ。

今年の10月13日に、25周年を迎える。

街のあちこちに点在するアートは、全部で109点。その中には昼間は控えめにたたずみ、夜の街で本領を発揮する作品がある。

2019.07.31

 

人通りの多いデパートとホテルの間の広場には、幾つもの光るアートが見える。

街のシンボル的な存在として人々に親しまれている、高さ5メートルの赤い植木鉢。

昼間は賑わう街に溶け込んでいるが、夜になると暗く静かな風景を背に一段と存在感を増す。

 

ファンタジックな光の自転車は、駐輪場のサインだ。

空を駆けるような姿は、街を訪れるたくさんの自転車を吸い寄せる。

 

昼は植栽の奥でこちらをうかがい、夜になると迫ってくる女性。

この作品と背中合わせに、階段を降りる花嫁もいる。

街の中に、同じ作家によるタイプの異なる3人の女性像が作られた。

 

 

夜になると真っ赤な顔になるサンタクロースは、怒っているのか酔っ払ってご機嫌なのか。
クリスマスなど関係なく、1年中ハリセンを手にポーズをとっている。

 

華やかに夜空を彩るネオンサインのアートは、青い空を背景にした夕刻が最も美しい。

生まれ故郷の丘で、一日中空の色の移り変わりを眺めていたという作家は、ファーレの街にその記憶を反映させ、4作品を手がけた。

 

作品裏側の間接照明も合わせて立体的に光を放つ。

 

その脇を通る歩行者用通路の屋根にも、ネオンのアートが施されている。

作家は「進むにつれてアートがついてくる」と語り、歩きながらアートを観るアイディアをとても気に入っていたという。

 

自身がこの場所を選び、「驚き」を与えるものとして設置した作品。

細く暗い路地が、カラフルな光によって明るく楽しい表情に変わった。

 

立川のランドマークとして作られたが、街並みの変化により遠くからは見えなくなった作品もある。

 

昼間は目に付きにくい作品が、夜になると浮かび上がる例もある。

歩道の木立に挟まって並ぶ、ドーナツ型の青い街灯。

本物の空が暗くなると、入れ替わりに青空と白い雲が浮かび上がる。

昼間はほとんど枝葉に隠れて目立たない。

 

歩行者用通路の手すりに半分隠れているのは、映画館の外壁にあるレリーフ。

大型の作品が3枚並んでいるのだが、気付く人はほとんどいない。

 

建ち並ぶビルの谷間でも、美しい作品が精一杯輝いている。

 

ファーレ立川の夏は、日が落ちてからの散策をお薦めする。

アートを探して街をさまよったら、冷たいドリンクを片手にいつもとは少し違う語らいができそうだ。

 

〜「ナイトツアー」のお知らせ〜
この街のアートをガイドしているファーレ倶楽部では、夕刻に作品を巡る「ナイトツアー」を毎年実施しています。
今年は9月27日金曜日、夜に輝く作品を中心としたアート見学ツアーと食事会がセットになった企画です。
内容の詳細は、ファーレ倶楽部のホームページ、フェイスブック、チラシ、立川市市報などでご覧ください。
(ツアーは無料、食事代は有料¥3,500。ツアーのみの参加もOKです。)
<問い合わせ・参加申込み> ファーレ倶楽部 https://www.faretclub1997.net/ E-mail : faretclub@gmail.com