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超大作「空間絵本」を体感!初の大規模巡回展「絵本作家 きくちちき展 いきもの Rhapsody」https://play2020.jp/article/kikuchichiki/

きくちちきさん初の大規模巡回展となる「絵本作家 きくちちき展 いきもの Rhapsody」がPLAY!MUSEUMで開催されている。
2026年12月13日(日)まで。

一番の見どころは、本展のために描き下ろされた新作絵本「空間絵本」だ。
高さ3メートル、幅1.8メートルの原画30点が、楕円の展示室の壁一面を埋め尽くす、大迫力の展示になっている。

これまで制作された絵本全80冊と、厳選された原画約150点も展示され、色彩に溢れ、自然や生命が躍動する、きくちちきさんの世界観が体感できる。

2026/10/07 (水) ~2026/12/13 (日)
開催場所

PLAY!MUSEUM

2026.10.12

本展の見どころ① デビュー前の手製本と約150点の原画

本展は、きくちさんが創作を始めるきっかけになったというモンヴェルが挿絵を描いたフランスの絵本から始まる。

隣り合うボックスには、デビュー前に手作りで制作した絵本も並び、きくちさんの創作の原点を知ることができるコーナーだ。

奥に続くブースには、人気作「しろとくろ」(講談社)をはじめ、「とらのことらこ」(小学館)や「ゆきのゆきちゃん」(ミシマ社)など約150点の原画が展示されている。

和紙に絵筆を使い、水彩や墨で描かれた生き物や自然は、きくちさんの身の回りの景色や出来事、故郷である北海道から生まれたものが多い。

きくちさんのアトリエがある、里山を舞台にした作品「やまをとぶ」(岩波書店)に登場する男の子は、きくちさんの息子がモデル。

人を描くのが苦手だったきくちさんだったが、息子の誕生を機に、絵本の中に子どもたちが登場するようになったという。

 

本展の見どころ②色彩に溢れる絵本原画に囲まれる「季節の部屋」

小部屋になっている展示室では、「もみじのてがみ」「さくらのふね」(小峰書店)「ゆき」(ほるぷ社出版)の3作品の原画が壁面に並び、もみじの燃えるような赤色や、桜の桃色、雪の白色と、その季節ならではの豊かな色彩にぐるりと囲まれる展示になっている。

ここには夏だけがないが、きくちさんは夏の絵本を作る準備もしているそうだ。

 

本展の見どころ③これまで制作した約80冊、全絵本の一堂展示

このコーナーでは希少本や絶版本も含め、きくちさんがこれまで制作した全絵本約80冊が展示されている。

きくちさんは、自身の絵本作りについて「一番大切なのは、自分が楽しく絵を描くことだと思っている。絵本は一人で作っているものではない。たくさんの人の力を借りながら作っているもの。その過程も楽しい」と話した。

きくちさんの制作スタイルは、とにかくたくさんの絵を描くこと。

1冊の絵本を作るのに、ラフを含めて1000枚ほどの絵を描くこともある。

疲れてくるのと同時に肩の力も抜けてくると、ある瞬間、絵が光って「描けた!」と教えてくれるのだという。

1冊ずつの絵本の紹介や制作エピソードは、公式図録「Chiki Kikuchi: Picture Books」で読むことができる。

きくちさんがたくさんの人たちと一緒に本作りをしている様子が伝わってくる内容だ。

 

本展の見どころ④ 高さ3メートルの描き下ろし超大作「空間絵本」

PLAY! MUSEUMの真ん中に位置する大きな楕円形の展示室では、高さ3メートル、幅1.8メートルの原画30点からなる、本展のために描き下ろされた新作絵本「いきもの Rhapsody」の巨大な原画と木の彫刻5体が、来館者らを大迫力で迎え入れる。


描かれるのは、きくちさんの「生命賛歌」と言える、地球を生きる様々な生き物の喜びや悲しみ、憎しみ、そして希望だ。

それらの絵を観ている私たちも、その一部であるのだと体感できる作品群だ。

内覧会できくちさんは、「制作は過酷であったが、充実していた。それが、この作品に結びついていると思う」と述べた。

多忙なスケジュールの中、10日間で30枚を描き上げるため、部屋いっぱいに作品にまみれながら描いたという。

一冊の絵本を作るのにたくさんの絵を描く制作スタイルのきくちさんだが、「今回はやり直しがきかない状況の中で、迷いながら、もがきながら作り上げた経験は、作品のテーマとも重なっていた」と公式図録の中でも語っている。

 

展覧会オリジナルグッズやカフェメニュー

新作絵本「いきもの Rhapsody」(ブルーシープ)や公式図録「Chiki Kikuchi: Picture Books」の他、きくちさんが描く愛らしい生き物たちをレイアウトした、展覧会グッズも多数用意されている。

カフェでも、彩り豊かなコラボメニューが提供される。

 

絵が生まれる時、きくちさんのライブペインティング

内覧会に合わせて、きくちさんによるライブペインティングが会場入り口の壁面で行われた。

描き上げるまでの時間は40分ほど。

みるみるうちに絵が生まれていく瞬間に立ち会うことができた。

準備

描き始め

子どもが現れた

黄色の絵具で星々

時折、全体を確認しながら、描き進めていく

画面の隅々まで描いていく

仕上がりに近づいてきた

完成
完成すると場内に拍手が沸く。

絵には、中央に二人の子どもと犬と猫、その周りに「いきもの Rhapsody」と「welcome」と記されていた。

制作時の集中力と、描き終えたあとのきくちさんの柔らかい笑顔が印象的で、制作の一端を見ることができたようなライブペインティングだった。

きくちさんが描く生き物や自然は、生命力に溢れ、輝いているようだ。

本展は、きくちちきさんが描く絵本の世界に浸れる、見応えたっぷりの展覧会だった。

 

■きくちちきさん・プロフィール

1975年北海道生まれ。

色彩溢れるタッチで自然や生命の躍動を大胆に描く。

道内の大学に進み、美術学部建築学科を卒業後、上京。美術専門学校でデザインを学び、印刷会社に入社、デザインの仕事にたずさわる。

骨董市で100年前のフランスの絵本に出会ったことをきっかけに、33歳の時に絵本作家を志す。

個展で発表した手製本の絵本が評判となり、2012年に出版したデビュー作「しろねこくろねこ」が、翌年にブラチスラバ世界絵本原画展 (BIB)「金のりんご賞」を受賞。

2019年に「もみじのてがみ」が同展にて金牌を受賞など多数。

2025年には第3回やなせたかし文化賞を受賞。

2019年武蔵野市立吉祥寺美術館「きくちちき絵本展 しろとくろ」開催。

■「絵本作家 きくちちき展 いきもの Rhapsody」
会期:2026年10月7日(水)ー12月13日(日)*会期中無休
会場:PLAY! MUSEUM(東京・⽴川)
開館時間:10:00-17:00(土日祝は18:00まで/入場は閉館の30分前まで)
入場料:一般1,800円ほか
https://play2020.jp/article/kikuchichiki/

(取材ライター:岡本ともこ)

会場地図