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夏至の正午に起きる現象とは 「2019夏至の日アートツアー」https://www.faretclub1997.net/index.html

ファーレ倶楽部主催の「夏至の日アートツアー」が6月22日、アートの街区「ファーレ立川」で開催された。

1年に1度、夏至の正午に起きる現象とは。そして、人々に伝えたいメッセージとは。

梅雨空のもと、参加者とボランティアを含め約80名が参加し、6グループに分かれてファーレ立川のパブリックアートを鑑賞しながら正午の時を待った。

2019.07.10

ファーレ立川、その誕生までの歴史
JR立川駅の北側には「ファーレ立川」と名付けられた街があり、109点ものパブリックアートが点在している。
しかし大昔、この辺りは草の生い茂る原野だった。
1922年、陸軍の飛行場ができ、関東大震災後は民間機が入り、やがて国際空港となった。
満州事変を機に民間機は羽田へ移り、大戦中は飛行機工場へと移り変わっていく。戦後は米軍に接収され「基地の街」として栄えていった立川は、街中にあったゲートやフェンスの向こうに「アメリカ」が存在していた。

 

ファーレ立川のアートたち

1977年にこのエリアは日本に全面返還された。区域を商業・業務地区として再開発ことが決まり、この時、アートの街区「ファーレ立川」の構想が立ち上がる。

この街区をプロデュースした北川フラム氏が「3つの考え方」を提示し、計画が進められた。
1つは「世界を映す鏡】、1つは「都市機能をアートに」1つは「驚きと発見の街】である。
「作品には題名や作家名も有りません。観るものにアートを感じる事、見つけて驚いたり楽しんだりする事が出来るのです」。
北川氏はこの町を森に見立て、ここにあるアートを森に棲む小さな生き物や妖精に例えた。

 

五感を研ぎ澄まし、アートの妖精たちに出逢えるツアーに出発

「-無題-」サンデー・ジャック・アクバン
ナイジェリア人作家の作品は14人の首長が勢揃いしたもの。名士の立派な装い。中に女性が1人おり、ナイジェリアが男女同権なのが表現されている。

「背中あわせの円」フェリーチェ・ヴァリー二(スイス出身/フランス在住)
ペデストリアンデッキの支柱を挟んで黒い線が見える。
直線や途切れた直線、階段には太い線、ステンレスの柵には点線が黒で塗ってある。
ふと、足を止めると驚きの風景に出会える。それぞれの黒い線が繋がり真ん丸になる。
題名通リ、また別の場所にもう一つの真円が見えるのだ。この作品は、観る者に発見する喜びと驚きを与える。

ホセイン・バラマネッシュ(イラン出身/オーストラリア在住)
「君はただここにそわっていて、僕がみまもってあげるから」。
作家の愛用の品を模した物を車止めとして設置。作家の日常がこの空間にあり、作家の影まで路面に残してある。

ストーリー性を感じさせる作品。

 

夏至の日に起きる奇跡に出会えるか

 

「-無題-」車止め 
カナダの先住民族ア二シベ族の言語で“私は太陽を待つ”と記されている。

正午の太陽光がこのプレートに当たると、反射して向かいのビルの壁にある日本語のプレートを照らすようになってるのだ。

作家は「個々の人間が互いに理解し合える時、その時こそが輝ける瞬間なのです」と語っている。

 

いよいよ1年に1度の、今回のフィナーレを迎えた。
正午の時を迎える。参加者は太陽を待つ。

しかし雲が厚く、光が差し込まず、残念なことに奇跡は起きなかった。

以前、観ることが出来た夏至の日から6回目の今回。

日本中が歓喜の時を迎えるであろう2020年の「夏至の日」に期待し、イベントは終了した。