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カッティングシートで子ども未来センターを飾っちゃおうhttps://t-mirai.com/

東京都立川市にある「子ども未来センター」。昨今では2階にある「立川まんがぱーく」が話題になっている公共の施設だ。

旧市役所を改修再生した建物内部には、吹き抜けの高い天井から明るい光が降り注ぐ。

エントランスロビーの大きな白い壁には、様々な色や形が散りばめられ、開放的な空間を彩っている。

これは子どもたちがカッティングシートに絵を描き、切り抜いて貼っていった作品だ。

開催場所

子ども未来センター

2018.08.28

2018年8月5日、作品を作るカッティングシートワークショップが行われた。今回で第10回目。2日目となったこの日、まだ製作途中の壁に、さらに色や形が増えていく。

 

講師を務めるのは、市内にアトリエを構える現代美術アーティストの茂井健司さん。ある日ここを訪れた彼は、大勢の子どもたちが出入りする場所なのに壁も天井も殺風景だと感じた。

 

「壁に絵を描かせてほしい」と施設に交渉し、ペイントではなく簡単に貼ったり剥がしたりできるカッティングシートを使用することで、ワークショップが実施されることになった。好評価を得たその企画は「もっと人目に付いて、イメージが伝わる場所がいい」ということで、メインエントランスの大きな壁を使った定期的なイベントへと発展していった。

 

 

 

「多くの子どもたちが訪れるこの空間には、子どもの作品があった方がいいと思う。もちろん大人も参加できる。『人と建物をアートで結びつけることと、普段はできないことへのチャレンジワークショップ』だ」と茂井さんは企画の意図を語る。

 

今回のテーマは「みんなの世界地図」。

 

一人一人が自分の国を作って貼っていくと、この壁が「世界地図」になる。

 

このワークショップの特徴の1つが、決まった時刻に全員集合して始まるのではなく、入れ替わり立ち代わり、自由に入ってきて自由に抜けられる点だ。主催者は、お店のように開店して待つ。

 

“ お客さん ” 第1号は、早めに来場していた小さな男の子とお母さん。4才の彼はお母さんが書いてくれた輪郭に沿って、ハサミを器用に使って切り抜いていく。「これはヘビかな」。身体に模様をくっつけて、名前を書いて、壁に貼ったら、にょろにょろと動き出しそうだ。

 

 

 

次の“お客さん”も、3才の男の子とお母さん。お母さんとの共同作業で、線路を走る電車を作った。彼の製作意欲は止まることを知らない。敷物もキャンバスになる。

 

 

 

 

小さい子どもたちの傍らで、黙々と製作に励む小学生がいた。

「僕はクラスで一番絵が上手なんだ」。

 

4年生の彼が作ったのは鳥のような竜のような、もしかしたらアニメかゲームのキャラクターだろうか。風に乗って空を駆け抜けていく。

 

 

 

 

椅子とテーブルが置いてある緑の島を作った4才の女の子。

それは貼らずに持って帰るというので、「切り抜いたあとの紙が面白い形をしてるから、もう1つ作ってみようよ」と誘ってみる。

 

女の子はササッと切って貼って、あっという間に赤い島ができた。上手に名前も書いた。

 

 

 

2ヶ月前に引っ越してきたという小学生の女の子。

何を作ったらいいのか考え込んでいたが、お母さんと一緒に作り始めたら、どんどんイメージが膨らんだ様子。ついにはお父さんも参加して、家族みんなで完成させた。

 

 

 

 

 

ワークショップも中盤に差し掛かり、はじめは閑散としていた作業場も、この頃にはだいぶ人数が増えてきた。

始めの頃に作品を作っていった小学生が、何人かの友達を連れて戻ってきた。みんな思い思いに材料を選んで作り始める。

 

 

 

作品を高いところに貼るには脚立が必要。自分でやってみたい子どもには後ろから支えて貼らせてあげる。

「気をつけてね。しわが寄らないように真ん中からおさえるんだよ」。

 

 

最も高いところに、最も大きな先品を作ったのは、このチーム。

 

小学生の女の子3人組は、打ち合わせから始めた。

 

何をどんな風に作るか、役割分担、きちんと決めて作業開始。みんな真剣な顔でそれぞれのモチーフを作っていく。

終了時間ぎりぎりまでかかり、ついに完成!

 

「貼りたいのはどこ? 離れたところから見て決めて」と脚立の上の茂井さんが声を掛けると、「もっと上!もっと右!」と女の子たちから指示が飛ぶ。どうにかこうにか一番高いところに貼ってもらえた。

 

 

 

 

超大作が壁に収まった後、片付けが始まった作業場の片隅で、この日最後の参加者たちが作品を仕上げていく。

「もうあまり時間がないから、小さいのしか作れないけど、いい?」という声にうなずきながら、手を動かす。

 

 

 

 

 

2日間で延べ90名ほどの参加者が「普段はできないことにチャレンジした」ワークショップが終わり、大きな白い壁は色とりどりの「みんなの国」で埋め尽くされた。

 

この建物は参加した人々とつながり、ここを通って作品を目にする人々ともつながっていく。

 

 

 

 

作品は次のワークショップまでこのまま展示され、エントランスロビーは常に子どもたちの作品によって、明るく楽しい雰囲気を保たれていくのだ。

 

訪れる機会があったら、ぜひ目を向けてみてほしい。

 

<<< 茂井さんから、次回のお知らせ >>>

次回10/20(土)〜22(月・祝)のこのワークショップは、3日間かけて「錦町」を作ります。

この周辺の錦町の街へ出て行って題材を探し、ここに戻ってきて作品にする予定です。

(10/20、21は、定員15名程度で予約制、10/22はフリーの予定)

会場地図