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interview

まちが好き、アートが好き。アートを介して人とつながる、ファーレ倶楽部。

まちが好き、アートが好き。アートを介して人とつながる、ファーレ倶楽部。

志村みちよさん
ファーレ倶楽部 副会長

15年前、ご主人の転勤がきっかけで神奈川から立川へ。30年前に見たファーレ立川オープンのニュースを思い出し、ボランティア団体「ファーレ倶楽部」に参加。本業の薬剤師の仕事の傍ら、「ファーレ倶楽部」副会長として、アートガイドやアート清掃、作家によるワークショップ開催(または実施)などの活動を行なっている。

まず始めに「ファーレ立川」と「ファーレ倶楽部」について、教えていただけますか。

「ファーレ立川」は、JR立川駅北側「米軍基地跡地」の再開発により生まれた、ホテル、デパート、映画館、図書館、オフィスビルなどからなる街です。1994年に行われたアートディレクターの北川フラム氏による「アートプロジェクト」に参加した、36カ国92名のアーティストの109点ものパブリックアートが、このエリアに設置されています。

「ファーレ倶楽部」は、この「ファーレ立川」でアートガイドツアーやアート清掃(ぴかぴかアートプログラム)、作家によるワークショップ開催(または実施)などの活動を行うボランティアグループです。結成した1997年から「無理なく・楽しく」をモットーに、「アートのある街」をみなさんに楽しんでいただける活動を行なっています。

志村さんが「ファーレ倶楽部」に参加したきっかけは、なんですか。

私は15年前、夫の転勤がきっかけで神奈川から立川に引っ越してきました。もともと美術に興味があり、美術館巡りや、アート鑑賞が好きだったのですが、約30年前、まだ私が学生だった時に、立川市が都市デザインにアートを取り入れ、パブリックアートを中心とした街づくりをしているというニュースを見て、「ファーレ立川」のことがとても印象に残っていたんです。

それで引っ越してきた時に思い出し、ネットで検索して「ファーレ倶楽部」のみなさんが楽しそうに、ガイドや清掃、ワークショップのボランティア活動をしているのを知り、私も参加したいと思いました。

実際に「ファーレ倶楽部」の活動に参加してみて、いかがでしたか。

例えば、美術館などで鑑賞する一般的なアートとは違って、パブリックアート作品は街の中にあり、いつでも誰でも無料で自由に鑑賞できます。さらに、見るだけではなくて、触れたり、座ったり、写真を撮ったりできて、季節や天気、時間によって見え方が違うことも魅力の1つです。逆に、街の中にあるので風景の一部になってしまい、アートとして意識せず通り過ぎる人もいます。

アートガイドの活動では、ガイトと参加者がアートを介してつながって、驚きや発見、喜びといった「いい感情」を共有することができます。特に、市内の小学生向けのツアーでは、子どもたちの素直な反応から私たちもパワーをもらっています。ガイドツアーも、スタッフによってアートに対しての感じ方が違うので、アートの魅力が人を介することで色んな伝わり方があることも面白いと思います。

人は、これまで興味関心がなかったものでも、意識するとそれにフォーカスするようになります。今まで風景の一部だったアートが、私たちの活動がきっかけで、アートを意識するようになり、フォーカスすることで、ファーレ立川や街のことを大切に思ってくださる人が増えるといいなと思っています。

今回、ご紹介いただいた本について、教えてください。

1冊目の、「ゆっくり、いそげーカフェからはじめる人を手段化しない経済ー」(著者:影山知明/出版社:大和書房)は、初めて読んだ時は、うらやましい気持ちで理想論として読んだのですが、このコロナ禍でもう一度読見返してみたら、今度は自分ごととして読むことができて、自分もああしたい、こうしたいという気持ちが湧いてきました。

ファーレ立川の50年を見届けたい、あと20年がんばろう!と思いました。希望は原動力になりますね。

ゆっくり、いそげーカフェからはじめる人を手段化しない経済ー
著者:影山知明/出版社:大和書房

2冊目の、「CONTACTART原田マハの名画鑑賞術」(著者:原田マハ/出版社:幻冬舎)は、アートをあまり見ない人には、アートへの入り口としてぜひ読んでいただきたい1冊です。もちろん、アートが好きな人も改めて振り返りとして読んでも楽しめます。

また、全国の「美術館ガイド本」としてもおすすめで、旅行先の観光スポットの1つとして美術館巡りをするという選択もある、ということをこの本から知っていただけるかもしれません。

CONTACTART原田マハの名画鑑賞術
著者:原田マハ/出版社:幻冬舎

3冊目の、「心も体もととのう漢方の暮らし365日」(著者:川手鮎子/出版社:自由国民社)は、1日1ページずつ、自分の暮らしに取り入れやすい生活のヒントが書かれています。

朝起きてごはんをたべること、夜はしっかり眠ることなど、健康というのは日々の生活を大切にする当たり前のことが大事だと、薬剤師としても改めて気付かされる1冊でした。イラストも素敵です。

心も体もととのう漢方の暮らし365日
著者:川手鮎子/出版社:自由国民社

最後に。ファーレ立川の50年に向けて、これからの志村さんの夢はなんですか?

そうですね、いまは「ファーレ倶楽部」には常駐できる「拠点」がないので、スタッフが常駐できてアートに関するお客様の対応ができる案内所のような場所が欲しいです。ミュージアムグッズや、アーティストに関する本も読んだり買ったりできる、ブックカフェのような案内所ができたら素敵ですよね。あと20年のうちに叶うといいな(笑)。

「大岩オスカール幸男さんの作品が好きなんです。どの作品も同じようにガイドしているつもりですが、推しの作品にはどうしても力が入っちゃいます(笑)」と、志村さん。

●ファーレ立川アート https://www.faretart.jp/

●ファーレ倶楽部 https://www.faretclub1997.net/

(取材ライター:小林未央)