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中村 能己:Nakamura Yoshimi 立川名画座通り映画祭実行委員長https://tachikawaeiga.com/

現在進行形で成長する立川名画座通り映画祭、市民とともに歩んだ10年間を語る。
中村さんは、10分間の短編自主製作映画を上映する、立川名画座通り映画祭に立ち上げから関わり、現在、実行委員長を務めている。

動画制作などの経験があったことから、中心人物として商店街発の企画を動かしてきた。
次第に全国から多彩な短編作品が集まってくる中、近年では作品応募数は140作を超えるようになった。

地元に愛される映画祭として成長した当映画祭は、2024年9月14日・15日に第10回の節目を迎える。
長年かけて市民と作り上げてきた立川名画座通り映画祭の、これまでとこれからを中村さんに語ってもらった。

2024.07.10

立川名画座通り映画祭の立ち上げのきっかけについてお話を聞かせてください
「1995年、南口の商店街が合同で開催した立川南口フェスティバルで、諏訪通り商店街からは映画の出し物をしようという話が持ち上がったのが映画祭誕生のきっかけです。

その中で、立川駅南口にかつてあった名画座に想いを馳せながら、立川名画座通り映画祭が生まれました。

映画祭を地域レベルで行う事例が増える中、町おこしの一環として『全国から短編映画を集めてやってみよう』と全国から作品募集する現在の形態に挑戦することにしました」。


鈴木オートの三輪車の展示

「第1回目では、公園に売店を出し、隣の公会堂で、立川にちなんだ名画上映と、集まった作品上映をあわせて一個のイベントとして成り立たせました。

立川在住の映画監督、中島久枝さんの助けを得て、ドキュメンタリーとフィクションを自分たちで作り、出品した思い出があります。

全く知名度もない状態でしたが、外部からの応募作品があり、手ごたえを感じました。
実際に、公会堂の上映には最大で40人以上の観客が来てくれたので、もっと上映規模を大きくしてもいいのではと。

第3回からは柴崎学習館に移って、より多くの観客に楽しんでもらえる体制を整えました。

立ち上げ時代のメンバーが、現在も中核となって、映画祭に携わるボランティアとして活動をしてくれています」。

立川名画座通り映画祭の特色や見どころ、これまで大変だったことは何ですか

第4回グランプリ作品・アニメ部門 『AYESHA』小原正至監督 声:島本須美

「一言でいえば、時代に合わせた多様な作品群の映画祭であるということでしょう。

時間や内容に関する1次審査からはじまり、選抜するための2次審査、最終審査、投票と段階を進めていきます。

毎回の審査を通じ、本当に数多くの作品を見てきました。グランプリは一作ですが、そこに至らない作品にも毎年忘れられない作品が数多くあります。

さらに、この映画祭では、送られてくる作品から各部門を立ち上がってきたという特徴があります。

というのは、運営側が予想するよりもグローバルであったり、個性的であったり、そういった作品が多く集まって、毎年驚きのある映画祭だと思っています。

アニメ部門も、初めはなかったのですが、作品が送られてきたことで部門化した経緯があります。

今では、外国語の作品も送られてきて、応募者の発信したい気持ちが国際化を促している側面もあります」。

第6回スマホ部門賞 『LOOP』大川晃弘監督、出演(2役)、撮影

「10年間映画祭を運営して最も困難だった経験は、コロナ禍です。

第6回から第8回がその時期に当たります。

その中では、1人で出演、1人で撮影といった、時世を反映した作品も見られました。

当時の事情によって、県外からの観客をお断りしなければならなかったのは本当に心苦しかった。

せっかく審査を通っても、上映自体に参加できない方もいて、表彰状だけ送る形になったのは残念でした。
今は、新型コロナ感染症が5類になり、皆で集まって表彰式ができることを、うれしく思います。

第10回では、応募者、受賞者、ボランティア、観客、審査員や運営陣の皆が一堂に会し、一つの集大成になるのではと考えています」。

今後、立川と映画のつながりをどのように発展させたいと思っていますか
「映画祭には、立川市長賞、立川市部門優秀賞といった立川市ならではの賞があります。

また第2回に楢崎茂彌さんの『あれから71年立川空襲の記憶』を招待作品にしたことから、立川の歴史を知る場としての役割も担えるようになったと思います。
市民ボランティアといっしょに運営する中で、立川市全体で映画祭を盛り上げる雰囲気が醸成されてきました。

大学生が来てくれたり、制作者が参加してくれたり、イベント当日に向けて、関わってくれる人がそれぞれの力を出して映画祭を動かしてくれています」。

スクリーンを見る観客たち

「立川駅の南口商店街から始まった映画祭ではありますが、これからは北口も巻き込んだ動きを作っていきたいと考えています。

立川名画座が区画整理によって閉館し、現在北口のシネマシティに変遷した経緯も考えると、そういったコラボレーションは積極的に働きかけていきたいです。
その中で、今年度の映画祭の翌日、シネマシティの協力により、シネマ・ツーでこれまでのグランプリ一挙上映が行われることとなりました。

映画祭でしか見られなかった過去の名作に触れる貴重な機会になると思います。

映画祭2日間+特別上映1日の期間中、これまで立川と映画の結びつきを知ってもらっていなかった方々にも足を運んでもらい、今後映画文化の発信力を強めるきっかけになると良いですね」。

最後に、第10回立川名画座通り映画祭に出品される方、来場される方にメッセージをお願いします
「どんな作品も時代を反映させるものだと捉え、公序良俗に反しないこと、10分以内の作品であることを重要視し、受け入れられるものは受け入れたいと考えています。

コロナ禍では、スマホ1つから、手仕事で、動画制作をするクリエイターが増えたように思えます。

1億層クリエイター時代の受け皿の1つとして、本映画祭が新しい才能を発見する場、発揮する場として機能することを目指しています。
そのため、この映画祭では、専門的な視点に偏りすぎないことも大切にしています。

投票によって決めるグランプリは、もちろん素晴らしいのですが、一般の人に向けて広く楽しめる作品や、玄人向けのとがった作品もあります。
100人いたら100通りの映画の見方、好みがあります。

映画祭期間に、数多くの作品を見て、自分の好みを探してみてださい。

自主映画を初めて見る人にも、面白さは伝わると思いますし、フィクションだけでなく、アニメ、ドキュメンタリーと様々なジャンルがつめこまれ、充実の映像体験ができると思います。

時代を知り、今を楽しむ意味でも、全部の上映作品を素直な目で見るのがおすすめの鑑賞スタイルです!」。


会場になる立川市柴崎学習館の前に立つ中村さん

今回のインタビューでは、中村さんに映画祭のこれまでの経緯やご苦労、これからの展望を語ってもらった。

映画祭はこの先の10年に向けて、多くのクリエイターと市民に開かれた創作と鑑賞の場としてさらに成長していくと思われる。

中村さんの熱意がその原動力となって、立川駅周辺全体に波及する大きなイベントになっていくだろう。

◆第10回立川名画座通り映画祭

2024年9月14日(土)・15日(日)開催

公式ページ: https://tachikawaeiga.com/

facebookページ: https://www.facebook.com/tachikawamcf/

X(twitter) :https://twitter.com/meigazadorieiga

(取材ライター:設樂ゆう子)