
TACHIKAWA
BILLBOAD
東京・立川周辺のART&CULTURE情報
「きっかけは」
「美術大学を卒業して、学んだことが仕事にできればよかったのですが、なかなか思うようにはいかなかった。
なんとなく始めた花屋のアルバイトが面白くなり、ウェディングブーケなども学べる教室に通い出しました。
その後都心の花屋に勤務しますが、ハードワークの毎日で深夜近くの帰宅、夕飯をコンビニ弁当で済ませるような日々が5年程続くと、元々あったアレルギーが悪化。それを機に花の仕事は辞めることになりました。
そこから自分の時間が持てるようになり、食にも興味がわくようになりました。
料理をする時間が持てるようになったことと関連して『器っていいな』と自然と産地や陶器市などを訪れる機会も増えていきました。
趣味の範囲ですが陶芸をしていたこともあり、これを仕事にしたいなと思ったんです。
そこから店を持つまでは時間はかかりましたが、今に至っています」。
「22年目の今」
「いずれ自分のお店を持つつもりで、当時、国立にあった『旅人木 (作家物の陶磁器を扱う店)』で勉強させて欲しいとお願いし勤めさせてもらいました。
H.worksは2004年にオープンして、2016年にこの場所に移転しました。
移転前は立川駅にほど近い場所にありました。
立川生まれ立川育ちですが、立川にお店を持つ気はなかったんです。
ですが、いろいろ物件は見たんですけれど、人の流れが変わり始めている時期だったことや立川らしい面白い場所だなと思い、その場所に決めました。今の場所に移転するきかっけは家を建てることになったことです。
移転することに不安もありましたが、今年で移転して10年経ちました。
お店をもってみて、自分が作るという道には進めなかったけれど、もの作りの人と関われることのできる仕事に、この選択をしてよかった、意味があったと思っています」と穏やかに園部さんは話す。

「出会いをじっくりと待つ」
「器を選ぶ時の明確な基準はないですが。
好みの土感や色合プラス、実用的で、オリジナリティーがあり、丁寧な仕事が伝わるものに目はとまります。
クラフトフェアなどで取り扱いたい器を探す際は、今店に並ぶ器にない要素をもった器を探します。
器にも流行があるので、その流行に乗らないようには気をつけています。
私はすごく慎重なので、良いなと思ったものは実物を見て触れて、使ってから決めるようにしています」。
「ギャラリーとしてのH.works」
「展示は年に9から10回ほど、個展とテーマのあるグループ展を開催しています。
その間が常設です。個展は、作家に任せています。ですので年数がたっていくと作風が変わることもあります。
新しいものを作り出そうとしている、そういう自由さも面白いと思っています。
グループ展は、毎回テーマの角度を変えながら開催しています。
夏は『夏の食卓』と、ざっくりとしたテーマでサラダや冷たいデザート、『お茶の時間』は和洋菓子、日本茶、紅茶、コーヒーなど。『出番がある器』を作家に考えてもらい用意してもらっています。
それと植物が好きなので花器展もたまにします。
みなさんにおすすめしたいもの、一部の方には響きそうなものもと、意外な出会いを紹介していけたらと思っています」。

「作家とお客様を繋いでいく」
「H.worksで取り扱う器は、ほとんどの物を使っています。
料理の量や雰囲気などの参考程度ですがInstagramなどで料理を盛った状態も載せるようにしています。
各家庭で必要な器は違うし、器の使い方も違う。
お客様が使った具合を教えてくれて、意外な使い方に驚いたりすることもあります。
作家には、お客様からの感想を『良い面も悪い面も』伝えるようにしています。
それは私の大事な役目の1つになります。
この仕事は、お客様の生活にも、作家の生活にも触れることになり、関わりが深くなることもあります。それがまたこの仕事をよりたのしくしています」と今に行きつくまでの気持ちを教えてくれた。

急須を選ぶポイントは注ぎ具合(まわり垂れない)、茶葉の入れやすさ、ハンドルの持ちやすさなど
「便利で良い時代だからこそ」
「当店はコロナ禍にオンラインショップでの販売をはじめました。
わかりやすくを心がけてはいますが、十分な説明や、実物を手に取った時のような撮影はとても難しいです。
もし時間が許すならば、不便な場所にある店ではりますが、いらしていただき、手に取って、触れてみて馴染み方や、器の持つ光の加減も見て頂きたいという思いもあります」。

移転前、店舗前に生えていた野葡萄(のぶどう)
「これから」
「移転前のお店ではできなかったことなのですが、庭で植物を育て、咲いたものを生け、剪定ついでに切って挿せるところがいいです。
ただ野葡萄(のぶどう)の剪定は一日がかりなんですけどね。
庭で植物を育てていると、お客様たちも興味を持ってくださって、会話もより親しくなっていっているような気がします。
器の仕事は、荷解きや返却など意外と体力が必要で大変なことも多いですが、楽しいことの方がほとんど。
まだまだ新し器に出会い、みなさんに紹介していきたい」と大変さの中にある楽しさを教えてくれた。

お店のシンボルツリーは、落葉せず常緑がいいなと選んだシルバーリーフのオリーブ
H.worksの庭先では、鳥のさえずりや小さな蝶々が舞っていて、ついつい長居をしてしまうような、穏やかな時間が流れていた。
■ H.works
HP: http://www.h-works04.com/
Instagram: https://www.instagram.com/hworks2015/
(取材ライター: 高橋真理)