
TACHIKAWA
BILLBOAD
JR立川駅
2025/08/09(土) ~2025/08/09(土) 開催場所 JR立川駅2番線
2番線ホームに現れたのは、銀河鉄道の夜のような夢列車。
不思議な車両に乗車すると、車内には「ゆめのかけら」を散りばめた空間が広がる。
なつのおもいでの小さな物語のお店たち。
3人の作家が織りなす不思議な世界。
ルミネ立川の車両を担当したのは、家具制作、住宅や店舗のリノベーション、出版などを幅広く手掛ける「KITORI」だ。
「時間との勝負」
JR立川駅のホームに電車を1編成まるごと停車し、マルシェを開くという初の試み。
このイベントに関わる全てのスタッフにとって、初めての体験である。
2番線に電車が入ってくる。
準備時間は30分程しかない中、「KITORI」のチームメンバーによって、ホームから車内に次々と機材や小道具が運び込まれ、手際よく設置されていく
「KITORI」代表の山上一郎さんも設置や指示出しに走り回る
あっという間に、車内が「KITORI」の世界観に染まっていく
今回、初めての試みを作り上げた「KITORI」のチームメンバー
参加の理由を尋ねると。皆、声を揃えたかのように、「KITORIさんからの声掛けだった」といい、内容はざっくりとしか伝えられていないなか、「絶対に楽しいことになる」と引き受けたと話す。
トレイン・ミニシアター「ジョバンニを待ちながら~なつのおもいで、ゆめのかけら~」
台本・演出:倉迫康史さん、出演:岩倉真彩さん 、小林至さんによる車両内で行われた10分間の短編幻想劇。
夏祭りではぐれてしまった友だちを列車の中で待っている少年に車掌が声をかける。
少年と車掌が語り合う夏の思いで、夢のかけら。
「手ごたえを感じました。興味をもってきてくれる方や、お客さんとの行先くじの一期一会の偶然がとてもよかった。また、機会があればやってみたいです」と車掌役の小林さんはいう。
毎回舞台は大盛況。出演者との掛け合いに子どもたちの楽しそうな声が響いていた
「KITORI」直営店の水玉舎さん
500円以上購入すると魔法のコインくじを引くことができた。
「水玉舎専属のアーティストだけではない」
「山上さんが楽しそうなことをする、何かするというと、集ってくれるアーティストが沢山いる。
山上さんの周りには楽しいことが沢山あるんです」とデザイナーのMIOさんが教えてくれた。
左:水玉舎 右:創造遊び場はるのとなり
銀河鉄道の車掌さんに扮した、創造遊び場はるのとなりのtonoharunaさん
トレイン・ミニシアター「ジョバンニを待ちながら~なつのおもいで、ゆめのかけら~」にもでてきた、行先くじ(上コトバ、下コトバを引くと行先が現れる)を引くことができ、「星のきおくのカケラ」を添えてもらえる。
できあがる行先にそれぞれの解釈が加わり、行先くじを引いた人達の物語が語られていた。
Krispy Kreme Doughnuts
「面白そうだったから。楽しそうだったから。
そして、地域貢献や繋がり、お客さんとふれあいを大切にしたい」と、二つ返事で引き受けたというKrispy Kreme Doughnutsの責任者の久保田さんとスタッフの秋元さん、後藤さん。
「やってよかった、コミュニティを作ろうと考えていたことが形になり、また企画があればやりたい。
今日来てくれたお子さん達が、電車でドーナツを食べた、あの電車は何だったのだろう」と大人になって振り返った時に、「不思議な夏の思い出になってもらえたら」と満面の笑顔と弾む声が印象的だった。
emoemo
emoemoデザイナーの神谷加奈子さんとアートディレクターの そうしよう さん。
「電車でのイベントということで駅員さんの帽子をかぶせて描きました。
あとドーナツ屋さんにからめて珈琲の絵も」と、この日の為に描きおろした作品を教えてくれた。
(Krispy Kreme Doughnutsの看板もemoemoさんの描きおろし)
描きおろしの作品
「JRの方の夢だと感じた」
「今回のイベントは、電車をホームに停車させマルシェにする。とても大変なことだったと思うんです。
それをやろうという心意気を感じた。
だからこそ、ルミネや他の商業施設も協力したんだと思います。
そこから『KITORI』に声がかかり、お任せしますという言葉に、応援する気持ちで参加を決めました。
商売目的や細かなことを言われたら引き受けなかったと思います。
街が盛り上がったらいいなと思うし、純粋な気持ちでイベントが増えていくことは良いことだし、協力したいと思う。
何かしら他人ごとではなく当事者になって関わってもらえることが大切。
みんな立川が大好きで立川が盛り上がるなら何とかしよう、そういう思いで活動しています」とKITORI代表の山上さんは話してくれた。
「また、やってみたいですね」
「JRからルミネに打診があって、この世界観を作ることができるのはKITORIさんしかいないと思ったんです。
ですが、電車には沢山の規制があり。一つ一つの問題を交渉しながら解決していきました。
それが一番大変でしたが、KITORIさんの持つ世界観を一緒に作り上げることができてよかったです」とこれまでの経緯を振り返る。
ルミネ担当者の猪股 恵理香さんのお話を伺いながら、このイベントに関わった全ての人達の「ゆめのかけら」にふれることができた気がした。
(取材ライター: 高橋真理)