
TACHIKAWA
BILLBOAD
「風来」F120号・キャンバス、油彩 2012年制作
「風が気持ちいいな、とか、木漏れ日がきれいだなとか、誰もが感じる共通の“何か大きな美しいもの”を形にしたくて。」と、静かにやさしくお話をしてくださる槇島さん。彼女の作品が並ぶアトリエに入ると、部屋の中にいるのに、キラキラとした気持ちのよい明るい光や、木々の緑や爽やかな風を感じた。
「ディスタンスについて」F20号・キャンバス 油彩 2011年制作 個人蔵
槇島さんは、2011年、東日本大震災の大きな揺れの中で「本格的に始めないと」と心を動かされ、石田倉庫のアトリエに入居を決めた。「自分がピンチになるほど、自分のビジョンが見えて来るんですよね。地震があって、人間も自然ですし。日常と自然、自分に出来ることで、それらを良くして行こうと思って。」上の作品「ディスタンスについて」は、アトリエに入って初めて描いた作品だ。
そして、2015年8月には、昭和記念公園花みどり文化センターで開催された「森の見る夢」のインスタレーション作品を手がけた。インスタレーションとは、空間を作品で構成し、作りながら変化させ完成させていく現代美術における表現手法の一つである。お絵描きワークショップでは、子どもたちと一緒に「森のみる夢」を想像して描いた絵を象り、透明なプラバンに写し切り取って、真っ白なオーガンジーの布に貼付けて制作。空間いっぱいに「森の見る夢」が広がる大作となった。
2015.07.26-08.23 「森の見る夢」 インスタレーション作品 国営昭和記念公園花みどり文化センター
現代美術というと、一瞬ちょっと難しそうという先入観があるかもしれないが、槇島さんの作品については、頭で考えなくても、心で感じることのできる“あたたかさ”がある。その作風から、友人知人から依頼を受け、新居や赤ちゃんのお誕生のお祝いの絵を描くこともあるそうだ。「新しく始まる記念日なので、私の絵から、明るさやあたたかさを感じて頂けたら…」と槇島さんは言う。
最近では「自分に出来ることを媒体に、大人も子どもも表現が楽しめる場づくり」を行いたいと、ワークショップや教室も、積極的に開いている。
2015年の石田倉庫のアトリエ展では、小さな子どもでも楽しめる「プラバン作り」のワークショップを行い、槇島さんと一緒に、楽しそうに作品づくりに取り組む子どもたちの姿が見られた。 槇島さんのホームページで、作品の他にイベントなどの情報もアップされている。アートに興味のある人もない人も、ぜひ、槇島さんの「大人も子どもも表現が楽しめる場づくり」に、参加してみて欲しい。頭で考えなくても、心で感じることのできるアートに出会えるだろう。
2015年の石田倉庫のアトリエ展にて。