ケヤキが茂る地域の拠り所「ホームカフェ&ギャラリー ステッチ」
コミュニティカフェ ホームギャラリーステッチ
2009年、西武拝島線「玉川上水」駅近くに開業した「コミュニティカフェ ホームギャラリーステッチ」。
オーナーの青木栄司さんは、立川市役所で働いていた経験から「立川の中でより一層文化に力を入れていく活動が必要だ」と感じていた。
市役所を退職したある日、株式会社マガジンハウスが出版している雑誌「Brutus」の建築特集の企画を見つけ、応募したところ当選。
設計は建築家安藤忠雄氏の建築事務所が担当することになり、実家の土地であった畑に文化と地域の人々の交流できる場所として「コミュニティカフェ ホームギャラリーステッチ」を建設する計画が始まった。
ケヤキが記憶する「人々の交流」
建設の際に最もこだわったのは「ケヤキ」である。
木は本来建設の妨げにもなり得るが、畑に生えていたケヤキは間引きこそしたものの、そのままの形で残した。
「玉川上水から続く緑の空間としてこの場所を作りたいと思い、ケヤキを残した。武蔵野の風土にケヤキは欠かせず、シンボルなんです」と青木さんは笑顔で語る。
そんなケヤキが見守る場所は今、人々の集いの場となっている。
ガラス張りの壁から玉川上水の緑が望め、静かで居心地のいい空間で自然と、地域の人々が集まる場所になっている。
カフェの一角にはフェアトレード商品が販売されており、ここでも人と人の繋がりが感じられる。
外では年に4回「青空市」というハンドメイド雑貨等を扱うマルシェが開催され、開業一年後から始まり、今までに40回以上開かれている。
マルシェではお客さんとハンドメイド作家の交流はもちろん、作家同士の交流も活発に行われているそうだ。
ホールでは音楽教室の発表会や音大の学生、卒業生などがコンサートを催す。
ホールはギャラリーとしても活用され、地域の人たちによる展示を行う期間もある。
1時間1000円という価格は、「誰でも利用しやすい場所として、解放したい」という青木さんの思いから設定された。
アットホームな雰囲気と良質に響く音が評判だという。
人と人の繋がりや地域のコミュニティが希薄になり易い現代。
人々にとって心の拠り所となっているのが「コミュニティカフェ ホームギャラリーステッチ」であり、ケヤキはこれからも青木さんと共に地域の人々を温かく見守り続けるだろう。
◆コミュニティカフェ ホームギャラリーステッチ
東京都立川市柏町4-77-1ホームギャラリーステッチ
TEL 042-535-9881
FAX 042-535-9882
(取材ライター:横澤 莉乃)