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読書と芸術の秋には「ネコがいっぱいの書店ギャラリー」

necoya books

猛暑の2022年8月、ネコに特化した書店「necoya books」が立川市富士見町にオープンした。
2階にはギャラリーが併設されており、開店以来ずっと「ネコ」に関連する展示やイベントが開催されている。

JR立川駅北口から歩いて12分ほど。単純な道筋なのだが店舗に辿り着けない来店客も多いという。
初めて訪れる方のために、実際に歩いてみることにした。

2022.11.08

「立川北口からnecoya booksへGO!」

駅ビル2階に位置する立川駅の改札を出たら、LUMINEがある「北口」の階段を降りる

外に出たら左へ進み、予備校が多く立ち並ぶ通りをひたすら歩く

突き当たりの信号「曙町一丁目」を左折して、踏切を渡る
そのまま広い通りに沿って直進し、セブンイレブン手前の信号を渡るとnecoya booksがある

格子に覆われた居酒屋風の建物、入り口の周りには白い本の形が描かれている

1階は本や雑貨がぎっしりの書店スペース

木の香りが清々しい店内は、全部「ネコ」。ネコ好きな人が一歩踏み入れたら、歓喜のあまり絶叫しそうな空間だ。

よく見ると一番奥の壁には「2F GALLERY」の文字と、階段のイラスト。
楽しそうなネコの姿に誘われて、昔懐かしい雰囲気の階段へ。

2階はアットホームなギャラリースペース

急な階段を上り切ると、真っ白な空間が広がっている。
和室を改装したギャラリーは、どこか家庭的な暖かさを感じさせる。
開店した日から次々に展示が行われているが、空き日程は一般向けにレンタルもできるそうだ。

隣接する日当たりの良い広縁(こうえん)には、昭和の頃「応接セット」と呼ばれていた1人がけソファとテーブルが置かれている。
昔風の雰囲気を残しておきたいと思い、ここは手を加えていないという。
冬はポカポカして居心地がが良さそうな空間となっている。

1階でドリンクを注文して、ここで飲むこともできる。
温州みかん100%の「ニャンジュース」、絵が可愛いドリップコーヒー、ネコにちなんだ銘柄のビールも楽しめる。
ジュースやコーヒーの売り上げは、野良猫を保護する活動の支援に充てているそうだ。

店主の柳 智恩(ユウ ジウン)さんは韓国で生まれ育ち、16歳の時に一家でアメリカへ移住、大学卒業後に日本で就職。
最近まで会社員として働いていた。
長い海外生活の経験を活かし、アメリカや韓国からも商品を輸入し、直接買い付けにも行く。

店舗経営については知識も経験もなかったが、「個人事業の経験者である夫が買って出てくれた」と話す
夫の支援もあり、大好きなネコの本や雑貨を集めて販売することや、2階ギャラリーでの企画に専念できているという。
店も子育ても、生活のすべてがご主人との二人三脚で回っている。

巡り合わせ

ふんわりと柔らかい雰囲気の柳さん。インタビューは「気楽なおしゃべり」のように話が弾んだ。

〜店を持つことを考えたのが2022年2月頃で、開店が半年後の8月8日〜
「物件は契約したらすぐに家賃が発生するので、早く利益を生めるように目標設定をし、大急ぎで準備を進めました。
準備期間が長ければいいものができるとも限らないし、集中して一気に進めたのが良い結果を生んだと思います」。

〜任せてくれた人〜
「最初に決めた物件が先方の事情で急に契約できなくなりましたが、結果的にはさらに良い条件の物件に巡り会えたのでよかったです。
大家さんから改装は自由にしていいと言われましたし、返すときもそのままでいいそうなので助かります」。

〜信じてくれた人〜
「内装が完成した店を引き渡されたのは、なんと開店の3日前。
開店当日に展示もイベントも企画していたのですごく焦りましたが、なんとか間に合いました。
作家さんは全てを任せてくれていたのですが、初めて一緒に仕事をする私によく一任してくれたと思います」。

〜手伝ってくれた人〜

「開店2日前になって、ピクチャーレールから絵を吊るすとゆらゆら揺れてしまうことに気付きました。
レールの位置が壁から離れているのが原因でしたが、ギャラリーで働いた経験がなかった私は事前に気付かなかったんです。
すると、ちょうど連絡を取り合っていた次回展示予定の作家さんがギャラリーに来てくださって、解決策を教えてくれました」。

「無事に予定していた日に開店できたのは、多くの『人』のおかげがあったからです。
巡り合わせやご縁というものを日々感じて、感謝しています」。

〜どのようなお客さんが訪れる?〜
「いろいろな事情でネコを飼えないというお客さんが、けっこう多いんです。
アレルギーがあるとか、高齢のため今からネコを飼い始められないという方などが、たくさんのネコに囲まれた時間を過ごし、笑顔になって帰られます」。

ネコも絵本も癒し効果がある

もともとネコは少し怖くてあまり興味もなかった柳さん。ご主人の希望で飼い始めた、夢中になったそうだ。
今では、一部商品の売上げを保護猫活動の支援に充てている。

子供の頃はあまり本に接することはなく、よく読むようになったのは社会人になってから。
絵本は自分の子どもに読み聞かせをするようになって出会い、その魅力にどんどん引き込まれていった。
今では、大人のための絵本セラピーも開催している。

これらの活動もこの店の一面であり、店を作る時の柳さんの思いは波動のように広く伝わっていったようだ。
初めは自分からルートを探して本も雑貨も仕入れていたが、最近では売り手の方から問い合わせや営業の話が来るようになったという。
本物のネコと接することができない人が、ネコグッズでいっぱいの空間に出会って心癒される。

縁で引き寄せられ、巡り合わせでつながり、大きな輪ができていく。
ネコにあまり興味もなく本好きでもなかった柳さんがこの書店を開いたことは、社会的に大きな意味を持った。

★★★ necoya books ギャラリー展示&イベント予定 ★★★

11/9〜11/28 高橋 和枝 「うちのねこ」絵本原画展
※ 11/12(土)14:00〜作家在廊予定

11/12(土)18:30〜19:30 「音と声の朗読会」音楽&朗読
necoya booksでは初めての朗読と音楽のコラボイベント
「うちのねこ」の高橋 和枝さんも参加予定

11/30〜12/19 高木 亮 きりえ展「風のゆくえ」
ネコと一緒にウサギが登場する2023年きりえカレンダーも販売中

12/21〜1/23 石川 えりこ 「ほんやねこ」絵本原画展

※それ以外のイベント、ギャラリーレンタルについては店舗まで。
Instagramやホームページでも様々な情報を配信。

Instagram :https://instagram.com/necoyabooks
ホームページ :https://necoyabooks.com/

所在地:立川市富士見町2-11-7
営業時間:12:00〜18:00 (時間延長の場合もあり)
定休日:毎週火曜日
TEL:042-842-0476

(取材ライター:中川内容子)