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「なぜ、カフェで青?」 店主が語る“20年越しの構想”

two meet coffee room

低彩色の建物が立ち並ぶ立川市の開発エリアで、ひときわ異彩を放つ“青い空間”がある。
壁も、天井も、床も青色。
鮮やかな同系色で統一された空間は、まるで絵画の世界に中に入り込んだ世界のようだ。

一見すると、「なぜカフェで青?」と首をかしげたくなるが、扉を開けると、その違和感は不思議と心地よさに変わっていく。

2026.02.13

2匹の象が向かい合っているイラストが印象的なロゴ

入口は多摩都市モノレールの路線のすぐそば。

秘密基地のような小さな通路から階段を上がり、重たい扉をゆっくり開けて中に入ると、お店のロゴが出迎えてくれる。

大きな窓からはモノレールが横切っていくのが見える。

どこに座ろうか迷っていると、キッチンにいるマスターが優しく声をかけてくれた。

カウンター席で注文したのは、人気メニューのモナンミルクとチーズケーキ。

モナンシロップの鮮やかなコバルトブルーと、スチームミルクの白の組み合わせが可愛らしい。

小腹が空いたときに嬉しい、ピタサンドやクロックムッシュなど軽食メニューも充実している。

キッチンの奥の壁は、青色の塗装が剥げかかり、レンガ造りの壁がむき出しになっている。

天井付近にも岩が削られたようなニュアンスが施されており、長いあいだ風雪に耐えてきた歴史的な建物のように見える。

 

なぜ青色に? 飲食業界の“タブー”に挑戦したワケ 

食欲が減る色というイメージが強く、飲食業界では敬遠されがちな青色。

なぜあえて青を基調にした飲食店をオープンしたのか。

店主である柴田将吾さん、青色の理由やアートとの関わりについて聞いた。

壁一面に塗られた青色のニュアンスも、よく見ると柱ごとに微妙に異なっている

なぜ青色をカフェの内装に選んだのですか?

「青色は食欲減退色として知られていますが、実際に食べてみると分かる通り、食欲が減ることはない。もともと空間を体験するカフェを作りたいという思いがありました。モロッコの街・シャウエンは青く塗っているだけで人が集まるように、青い空間で食事を楽しんでもらえると思ったんです」

空間づくりにも随所にこだわりが感じられます

「青色って難しくて、ターコイズブルーの一色で塗り切ると、保育園みたいになってしまう。なるべく安っぽくならないように、内装造形業者さんに相談して立体感のある仕上げを施しました。例えば、内装にわざとダメージ加工を施したり、中古の家具をそろえたり、それによって何年も続いているような安心感を演出しています」

人と人、人とアートが出会う場所に

お店の奥にあるギャラリースペースは、誰でも自由に鑑賞することができる

お店の奥にはギャラリースペースもあります。お店とアートとの関わりについて教えてください。

「大学時代に油絵を学ぶ中で、キャンバスを喫茶店にした作品を作れたら面白いと思ったんです。美術館とかギャラリーって名前がついていると、美術に興味がない人は入りづらい。でも、カフェっていう切り口なら入ってきやすい。いわばカフェに“擬態”することで、普段美術館やギャラリーに足を運ばない人が、美術に接するきっかけ作りができればと思ったんです」

『two meet coffee room』というお店の名前の由来は何でしょう?

「コーヒー好きと美術好きが出会ったり、QR決済で飲食が済むこの時代に人と人との出会いがあったり、“2つの要素が出会うコーヒー店”というストーリーを大切にしています。象と象が出会っているお店のロゴも、実は牙の長さが違っていて、そっくりだけどちょっと違うひと同士が出会った、みたいな表現をしています」

 

あえてWi-Fiを置かない理由

晴れた日には、ショーケースのガラスや食器の表面に時々モノレールが映りこむ

対話や出会いを大切にされているのですね。

「コミュニケーションをとる場所があると楽しいし、幸せ。5年、10年というロングスパンで見たら、コミュニケーションはカフェのコンセプトとして必要になるカテゴリーだと思いました。うちは会話を楽しむ人の割合を増やすために、あえてWi-Fiを置いていないんです。勉強できるようなカフェが増えている今だからこそ、普通に喋っても良い場所を作りたかった」

ありがとうございます。最後にマスターとアートとの関係について教えてください。

「アートって結構難しくて、定義に関してもずっと悩んでいました。『なんで分かんないんだろう?』と。アートは常に変化し続けるからこそ、定型文におさえられない。小さい頃の遊びみたいなものです。今後、遊び心やアートの領域が必要になる時代が来たら、その入り口になれるようなお店になれたらと思っています」

青い空間に、深入りのコーヒー、そして会話の気配。

「two meet coffee room』は、人と人とが向き合う時間をそっと思い出させてくれる場所だ。

道に迷いやすいので、訪れる際は場所をInstagramで確認してからがお勧め。

きっと絵画のなかで過ごすような、素敵な体験になるはずだ。

 

■two meet coffee room
東京都立川市緑町4-2立川地方合同庁舎にぎわい施設2階店舗
Instagram:https://www.instagram.com/twomeetcoffee/?hl=en

営業時間:火曜日(10:00-17:00)、水曜~土曜日(8:30-17:00)
定休日:日曜日、月曜日

(取材ライター:松岡直希)