線画家アーティスト・もんでんゆうこさん ペンスケッチからウォールアートへの挑戦
※Photo ENDO Chie
日野市にある線画家アーティスト・もんでんゆうこさんのアトリエを訪れると、中からは笑顔が素敵なもんでんゆうこさんと多種多様でカラフルな動物たちのアート作品が出迎えてくれる。
2016年に立川ビルボードに登場していただいたもんでんさん。今回は線画家アーティストになるまでの軌跡と最近の挑戦について話を聞いた。
絵と共に挑戦し続ける
もんでんさんは幼少期から絵を描くことが好きだった。
しかし、本格的に美術の道を目指したのはペンスケッチに出会ってしばらく経ってからだという。
2002年、イラストレーターの永沢まことさんのイラストを初めて見たときに感じたのは「これなら私でも描けそう、描きたい」という思いだった。
「人に『描けそう』と感じさせる絵を描くことは実際にはとても難しいこと」ともんでんさんは語る。
最初は当時暮らしていた岡山でペンスケッチを習い始めた。
その後、東京に移住して永沢まことさんの教室に通うこととなった。
教室にはプロ志望のイラストレーターも多く在籍していた。
そんな中でももんでんさんは、ただ絵が好きだという気持ちで、お金にするつもりはなく描いていた。
しかし先生から「趣味で描いていても仕方がない、どうせ描くならプロフェッショナルを目指さないと」という言葉を掛けられ、個展を開くことを決意する。
個展を開く中で心境の変化があり、3回目の個展の際には「お金になる絵を描いてみたい」と思うようになっていた。
個展の来場者から「もう、お金になる絵をかけていますよ」という言葉をもらったことは今でも忘れないと言う。
その後、日野市の寺社ロードマップ、たましんの高幡不動支店で配布するための日野カフェロードマップ、日野市新選組のふるさと歴史館の顔出しパネルの作成、そして代名詞でもある広報たまちいき一面のイラストマップなど地域と密接につながり、様々な仕事を手掛けた。
コミュニケーションを生むウォールアート
最近の挑戦は大きな絵を描くことだ。
高幡台団地で開催されたイベント「高幡台青空アートマーケット」に飾るための大きな絵や、「はっけん!ぼうけん!多摩平の森アートプロジェクト」で仮囲いに直接描いたウォールアートなどである。
「はっけん!ぼうけん!多摩平の森アートプロジェクト」は、「多摩平の森で遊ぼう、探そう、見つけよう」というキャッチコピーのもとで日野市にゆかりのあるアーティストが日野・多摩平の森を題材にした絵を制作し、プロジェクトの期間中仮囲いに展示されている絵を誰もが見ることができるというプロジェクト。
制作方法として小さい絵を拡大コピーして貼るという方法もあったが、もんでんさんは敢えて直接壁に描く方法を選んだ。
それは「小さい絵を部屋の中で描くのでは、今までやってきたことと変わらないという思いがあったからだ」と話す。
制作期間の2週間は真冬にも関わらず比較的暖かく、雨も一切降らなかった。少しでも天候が悪ければ納期に間に合わない可能性もあったという中で、天候に恵まれた。
屋外での制作に挑戦してみて最も良かったのは「地域の方とのコミュニケーションだ」と言う。
制作が始まって間もない頃、最初はチラ見する程度だった人々が、段々と声を掛けてくれるようになり、作品について話すまでになった。
向かい側の道から手でマルを作って応援してくれる人や、描かれているものについてコメントをしてくれる人など、様々な形でのコミュニケーションが生まれた。
「みんなこういうコミュニケーションを悪くないと思っているんだなという発見がありました。」ともんでんさんは嬉しそうに話す。
地域の方々とコミュニケーションを取り、繋がりが生まれている中で制作することはもんでんさんにとってとても楽しいことであった。
※Photo ENDO Chie
最終的に納期の2週間以内に作品を完成させることができた。
当初の予定では2022年の8月上旬までの掲示期間だったが、延長されて今も飾られている。
絵の中には観ていて楽しい様々なモチーフや街の風景との融合を感じられるような仕掛けもあり、制作が終わった後も鑑賞する人々同士のコミュニケーションを生み出すことができるような作品となっている。
もんでんさんは今後、2022年11月23日(水・祝)に開催されるはらっぱアートフェスティバルin高幡台団地2022にて「あのひの、73号棟」(H2m×W5m )を展示する
◆YouTube「もんでんゆうこのアートな世界」
https://www.youtube.com/channel/UCTXBK4eOmIG5yyxySkadjQg
(取材ライター:横澤 莉乃)