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東京・立川周辺のART&CULTURE情報
SORANO HOTEL

(写真左から)ときと 石井総合プロデューサー、ときと 大河原総支配人・料理長、Wakiya 小澤統括料理長 、立飛HD 村山代表取締役社長、SORANO HOTEL 福原総料理長、Wakiya 脇屋友詞シェフ、ときと 日山シェフ、SORANO HOTEL 柴田シェフ
地元食材で表現する「立川の未来」
料理は、Wakiya、ときと、SORANO HOTELによるコラボレーションで構成された全9品の特別コース。立川の「あみちゃんファーム」のエディブルフラワー、「伊藤養鶏場」の東京うこっけい、奥多摩のわさびや秋川和牛など多摩地域の食材もふんだんに使用した特別メニューを提供。卓上には「蔵の花屋 コトハ」が手がけたフラワーアレンジメントが彩りを添えた。


ときとの石井総合プロデューサー直筆の飛行機・日の丸・立飛ロゴが描かれたお品書きとともに提供された前菜盛り合わせ「祝菜」
上海蟹、秋刀魚の棒寿司、東京うこつけい冷製茶蒸し、DAICHIの恵みサラダなどシェフそれぞれの個性が際立つ構成

北海道標津町を拠点とする漁師集団「波心会」の天皇献上のサーモンと松皮かれいの「お造り」に、立川産南高梅の醤油漬け等の薬味をあしらって

メインの肉料理「秋川牛フィレ肉」に使用する多摩産杉皮が丁寧に焼き上げられていく

肉料理「秋川牛フィレ肉」

ときと 黒岩ペストリーシェフの「赤葡萄といちじくのタルト仕立て」。見た目の可憐さと上品さがディナーの余韻を静かに包んだ
立川から世界に挑戦できる姿を見せるシェフたち
イベントでは各シェフたちのトークセッションを開催。
立川を“第二の故郷”と語る脇屋シェフは、北海道出身で15歳で料理の世界に入り、1985年、27歳で「立川リーセントパークホテル」の中国料理・楼蘭料理長に就任した。当時を振り返り、「立川を自分の拠点として、腕を磨き、骨を埋める覚悟で挑戦を続けてきました。料理人としての価値観を育てていただいたと感じています」と話す。
日本におけるヌーベルシノワの旗手として知られ、1990年代にこの新しい中国料理のスタイルを日本に広めた。ヌーベルシノワとは、1980年代に香港で生まれたスタイルで、従来の大皿で豪快に供する中国料理とは異なり、フランスの調理法や盛り付けを取り入れ、コース仕立てで一皿ずつ提供するのが特徴だ。脇谷シェフは、このスタイルに四季折々の旬の食材や日本人ならではの繊細な美意識を巧みに融合。上海料理にとどまらず、広東・北京・四川の技法も大胆に取り入れ、独自のスタイルを築き上げ、名を馳せた。

Wakiya 脇屋友詞シェフ
「SORANO HOTEL」福原義昭総料理長は、食材に込められた生産者の仕事を一皿の中に表現したいと話した。「料理を始めてから、食材の重要性を意識し始めたのは前職である北海道の「吉兆 洞爺湖店」で働いていたとき。農家さんの作った豚汁を食べた時、食材の存在感に驚かされました。ジャガイモやごぼうなど、その土地で採れたものを食べることの価値に気づきました」。
「食材には、作り手の思いが込められています。料理を作ることは、単純に美味しいものを提供するだけでなく、人と人とのつながりを感じ、尊重することでもあります。だからこそ、料理は人を癒し、いい気分にできる。料理人として、食材の魅力や背景を伝え、作り手と食べ手をつないでいきたいです」。

SORANO HOTEL 福原義昭総料理長
大河原謙治総支配人・料理長は、「立川から世界に挑戦できる姿を見せたい」と今後の意気込みを語る。
「多摩地区初のミシュラン獲得は大きなきっかけになりました。しかし、私どもにとってはまだ1つ目の一歩を踏み出したにすぎず、やっとスタートラインに立てました。これからも努力を重ね、邁進していきたいです」。
「これから大切なことは、次世代をどう育てるか。私たちの国内外での活動を通して、料理人やサービスマンとしてホスピタリティの業界で世界を目指せる人が、この街にいることを子どもたちに感じてもらいたい。そして、この立川から将来ミシュランの星を背負う料理人や、『ときと』を引き継ぐ存在が生まれることを願っています」。
その一環として、8名の地元小学生を招いた料理教室を開催。カウンターで子どもたちと話すのは楽しい時間だが、経営にかかるコストや人件費、材料費についても丁寧に教える。「最も大事なのは、笑顔の数が給料に反映されることだと伝えています」と大河原氏は話す。

ときと 大河原謙治総支配人・料理長
ミシュランの授賞式に出席しパリから帰国したばかりの石井プロデューサーは、率直な思いを語った。
「各国の受賞者たちと話す中で、どのホテルも、会社としてどのような思いで建設され、その土地で発信しているかに真摯に向き合っていました。今回、ときとが受賞したのも、戦前に建てられた老舗料亭、無門庵の歴史をつなげるという思いで作られた施設として評価されたからだと思います。多摩地区で唯一であり初受賞となった今回、立川全体の誇りを感じられるものであり、街の力があってこその成果だと、あらためて実感しました」。

ときと 石井義典総合プロデューサー
立飛HDは記念事業の一環として、10月23日~26日に「立川立飛歌舞伎特別公演」を立川ステージガーデンで開催。また、12月20日には同会場にてクリスマスコンサート「Sound of CHRISTMAS 2025」を予定している。ときとでは、11月1日(土)からはミシュランキー受賞を記念し、「ときと大河原総支配人スペシャルコース」の提供もスタートする。

(取材ライター:Me Time Japan in Tama )