
TACHIKAWA
BILLBOAD
「A♡A♡OH!の意味」
「エイエイオー!お互いに応援し合える世界へという意味と、家族みんなの名前にAが入っているんです。
そして丸と陰と陽、love&peace、いろんな意味を込めてます」と明るく弾む声で話し始める。
「なければ創ればいい」
「何かを創り出すということが、物心ついたころから当たり前でした。
家が裕福ではなかったので、子供の頃から欲しい洋服など買ってもらうという選択肢はなかった。
今のように洋服を安価に買える時代でもなく、生地を買ってきて縫った方が安かった。
当時、中学校の家庭科の授業はパジャマなども縫っていたので、洋服を縫うことができるようになり、原宿に遊びに行く為の洋服などは自分で縫っていました」と初めて縫ったシャツを見せてくれた。
中学生の頃、初めて縫ったシャツ
「強行突破の結果」
「結婚や人生の節目を向かえ、きちんと洋裁を習ってみたいと思い、学校に行こうとしたのですが経済的に無理だと言われ、働きながら学べる縫製工場にいこうとしたのです。
でも、時代ですよね。
自分の奥さんが働きにでるなんて世間体が悪いと、これまた駄目といわれて『何言っても駄目なんじゃん』と強行突破して、立川に新しくできるお直し屋さんの求人に応募しました。
当時20代だったこともあり『やる氣(き)』だけで採用してもらえました。
洋裁は出来る方だと意気込んでいたんだけれど働いてみたら、素人に毛が生えたレベルだった」と笑う。
「志事(しごと)」をしながら洋裁を一から学び直し、店舗拡大のおり現在の店に移動となり、結果として店を継ぐこととなる。
「ダメなら、その時考えよう」
「この店に移動した当初は、職人さんが二人いて。
一人は縫製工場で腕を磨いてきた方、一人は洋服の専門学校を卒業してから縫製の職に就いた方。
それぞれの得意な分野が違ったので、バランスよく『志事(しごと)』を学でいくことができ良い環境でした。
20年程務め、社長が店を閉める時に『この店を継がないか』と声をかけられた。
いやいやいやと、お断りをしようと思ったのですが、こんな機会は人生にそうそう起こることではないし、やってみてダメなら、またその時考えようと引き受けました」と独立して7年。
これまでの経緯を教えてくれた。
オリジナルの帽子と愛機のミシン
「できないとは言わない勇気と時代を超えていける面白さ」
「紳士物のスーツの肩幅つめは、とても難しいので受けたくない仕事の一つだったのですが、文句は言わないからどうしてもと言われて引き受けたんです。
自分では納得いくまではいかなかったのですが、よい経験をさせていただました。
また、何件もお直しを断られるような100年前の総レースのガウンを直したことがあったのですが、その作業をしているとき、いきつけの飲み屋さんのオーナーが100年前のブルースの音源をCDにやいてくれたんです。
それをかけながらお直しをしていると、その時代にトリップしたように時代の空気を感じることができた。
特別な面白さがありました。無理だと思っても断らなかったことで自信がつき、お客様からの相談に対しては、できる限りなんでも引き受けるようになりました」。
オーダーのウクレレカバー
「『破壊』と『想像/創造』と『再生』」
「この仕事『破壊』と『想像/創造』と『再生』なんです。
『破壊』は持ち込まれたものを解くこと、ほどかないと始まらない。
『想像/創造』は考えること創ること、『再生』は形に戻すこと。特に創造の部分が好きなんです。
もちろんお客様と相談しながらですが、直しをしたように思えないように直したり、全く違うものに創り変えたりしてきた。
今後は自分の中からしか出てこないものに重きを置いていきたいです。
その瞬間瞬間に感じたものを『その時に』創り出す、自分を優先させるとすべてが効率良くいくんです。
自分が何を生み出せるのか、自分自身もまだ知らない可能性が楽しみでもあるんです」。
ワンピースとバックの生地は、元はマルチカバー/ワンピースは片側で長さ調整ができ、バックの手の部分はパンツ用のベルトでできている
あっきーさんのインスピレーションの源は、「これを創るぞ」と素材を探し創り出すというより、巡り合った素材から「創りたいモノ」が生まれてくるという。
お客様が置いていったジーパンをつなぎ合わせた風神雷神の対のジャケット/写真は風神
「アピールは上手ではないけれど」
「これは自分自身での課題の一つでもありますが。
流行には乗らない、誰とも被らないモノ、オリジナル、1点モノを創り出し、イベント出店も考えています。
愛着あるモノ『好き』を身に纏うと心も體(からだ)も喜びます。
愛の『氣(エネルギー)』に満たされた日々を過ごすお手伝いをこれからもさせて頂きたいです」と声を弾ませた。
年季の入ったお気に入りの目打ち
■あっきー:愛氣
Instagram:https://www.instagram.com/_a_a_o_h_/
住所:東大和市南街6-86-5 1F
(取材ライター: 高橋真理)