埋もれた街の魅力を掘り出す、街の記録係に
立川新聞
日々、移り変わる立川の街並み。道路や遊歩道などが整備され、新たな大型商業施設の建設や個性溢れる飲食店の出店も多い。
かつて魅力あったものが街からなくなっていけば、また新たな魅力あるものが続々と現れてくる。
そんな急激な移り変わりを25年間、立川に住み続け、見つめてきた㈱エリアダイレクト代表の戸田裕二さんは約3年前に、地域密着型新聞「立川新聞」を立ち上げた。
「始めたきっかけは…、年かな(笑)」
長年、広告業界一筋だった戸田さんは結婚を機に、立川へ移り住んだ。
インターネット専門の広告代理店として独立し、YAHOO!プロモーション広告正規代理店などとして、全国のクライアントのプロモーションを主な仕事として行ってきた。
そんな仕事の傍ら、プライベートでは立川での子育てなどを通じ、次第に地域の人と触れ合う機会が次第に増えてく。「立川の人たちとの出会いを通じ、魅力的なお店、場所などに出会う驚き。今までなかった機会が増えていきましたね」。
次第に街の魅力に惹かれていった戸田さんだったが同時に、その魅力が街に埋没し、知られていない現状に直面することも多かった。
「なんかもったいないなと。その魅力さえ知ってもらえれば、きっと足を運ぶ人も増えるはず。クライアントのために仕事をするだけでなく、漠然と、そんな地域に役立つことがしたくなったんですよね」と戸田さんは話す。
ひょんなことがきっかけで当時、東京各地で起き始めた「地域密着新聞ネットワーク」の創業者でもある「恵比寿新聞」の代表に出会い、戸田さんは立川新聞の立ち上げを決意した。
「きっかけは…、年かな(笑)。まずはやってみようと」と、たった1人、立川新聞を立ち上げた。
「立川各地をまわり、記録する日々へ」
とはいえ名前も知られていない地域メディアだったため当初は、一軒一軒、自ら周り、熱意を持って取材交渉を行った。
飲食店を取材する際は「お金をもらっちゃうと、好きに書けないから」と、紹介するメニューなど、すべて実費。昼、夜としている店であれば、2回足を足を運び、細かく紹介していった。
「当時はカメラも、こんな小さくてね。それでも色んなところに取材依頼でまわりましたよ。IKEAのオープンの際は、まわりには大手新聞社の記者さんたちと一緒に取材したり。中々、できない経験で新鮮でしたね」。
取材対象は、店舗やイベントだけにとどまらず、情報として表に出てこない市役所の仕事などを取り上げようと建築現場まで同行し、そこで働く人々の取材なども行ってきた。
これまでの記事数は約150本。次第に認知度も高まり、「取材をしてほしい」「知り合いの店を紹介してあげてよ」と、反響も多くなっていった。
現在は立川のシェアオフィスを立川支局として使い、3人の記者と共に、記事を書き綴っている。
「移り変わる立川を記録し続けたい」
立川新聞の取材対象はあくまで、戸田さん自身の市民目線で、惹かれた「もの」や「人」。
街を歩いていて、気になった場所へは躊躇なく飛び込んだ。「何となく味わいがあるな」と何気に入った自転車屋さんは、大正11年創業の老舗。店主から、昔の自転車が今の車の様な価値あるものだった時代の話なども聞いた。
リニューアル前、取材で訪れた大型商業施設「フロム中武」では、アイドルグループ「ももいろクローバーZ」がデビュー前に頻繁にコンサートを開いていたという裏話や、今ではファンの聖地であることなども聞いた。
「SNSでは流れていってしまう埋もれた情報を、しっかりと書き残す。移り変わる立川の記録係になりたいですね」と笑顔で話していた。
◆立川新聞(運営:(株)エリアダイレクト)
http://tachikawatimes.com/
編集長:戸田裕二
立川支局:立川市錦町1-4-4 TXT
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