宮坂省吾:Miyasaka Shogo染色美術家http://www.miyasaka-shogo.com/
[出身]北海道
[経歴] 多摩美術大学染織デザイン学科卒業。武蔵野美術学院非常勤講師。染色を主に、樹脂などの組み合わせで表現し、素材が融合したときに醸し出す表情にこだわった作品づくりをしている。芸術交流を行うグループ「EAJAS」「SQUARE 染 textile」にも参加。
染色を主とし、樹脂などの組み合わせで表現するミクストメディア。
描いて人に喜んでもらえるという体験が、いまの自分の原点なのかもしれません。
「3歳くらいのころから落書きをするのが好きで、裏が白い広告のチラシを集めて、こっそりたくさん落書きをしていました。人に見せるというよりも、好きなもの、欲しい物を描いて。ただ描いて形にするのが楽しかったんですね。ある時、その落書きをあるとき人に見せたら、アニメのキャラクターとかを描いて欲しいとリクエストをもらうようになって。
描いて人に喜んでもらえるという体験が、いまの自分の原点なのかもしれません。」と語るのは、染色美術家の宮坂省吾さん。美術短大の非常勤講師や、美術の教材制作の仕事をしながら、染色と木、樹脂、糸など様々な素材と組み合わせたミクストメディアによる作品づくりを行っている。
作品を通して伝えたいものは「空気感のようなもの」
北海道出身の宮坂さんが、作品を通して伝えたいものは「空気感のようなもの」なのだそう。「空は地球上どこでも1つですよね。北海道にいたころの空は、とても広かったのが、東京へ来て空が狭いことに気がつきました。
でも、都会でも人の暮らしているスペースのふとしたところに、実はいつも自然はあるんですよね。」 作品作りは、まず全体のイメージを決めてから、イメージに合わせて布を染色。にじませたり、色を組み合わせたりして並べた布を、木の板に貼り、糸でつなぎ合わせて画面を構成し、ポリエステルやアクリルの樹脂を塗って完成させる。
作品を間近で見ると、布の端のフリンジが樹脂の中で、たゆたうままの状態で固まっていたり、織りの違う布を浸透した樹脂が透明感を与えて、何とも言えない浮遊感やみずみずしさを感じる。 「作品は、国や場所は特定せず、見る人の経験や記憶、そのときの感情にゆだねています。たとえば、モチーフで使っている単なる幾何学の“円”も、それぞれ見る人の想像で、太陽や月、あるいは地球など、自然の象徴として感じていただけたら。」
「異なった素材が融合したときに醸し出す表情」や「新たな素材やメディア」も同時に模索
宮坂さんは「作品は染色を主とし、樹脂などの組み合わせで表現しています。これらは一環して続けていますが、こだわっているのは素材が融合したときに醸し出す表情。新たな素材やメディアも同時に模索していきます。」と言う。さらに、制作活動と併せて、日本とスカンジナビア周辺諸国のコンテンポラリーアートを軸にした芸術交流を行う。
「EAJAS(http://eajas.com/home.html)」や、垣根を越えた様々なジャンルの作家を迎えた展覧会を企画するグループ「SQUARE 染 textile(http://textile-sq.com)」にも参加。これらの活動は、「異なった素材が融合したときに醸し出す表情」や「新たな素材やメディア」も同時に模索しているという宮坂さん自身の制作ともクロスしている。
宮坂さんが織りなす染色と色彩の作品はホームページでも見ることができるが、展覧会などでもぜひ、実物を見て作品の持つ「空気感」を感じて欲しい。宮坂さんの作品から見えるあなたの「空」は、どんな空だろうか。