松瀬勇樹:Matsuse Yuki油彩画家
[出身]東京都生まれ
[経歴]アメリカの大学でファインアートを専攻し、ペインティングやドローイングなどを学ぶ。帰国後、アパレルとITで起業した後、金融関係の会社に就職。サラリーマンをしながら、油彩を中心にした絵画制作を行う。
サラリーマンとアーティスト、二足のわらじを履くシティボーイ
石田倉庫に初めて来たのは11年前、26歳の時。
「このアトリエを借りるのに、10年かかったんですよ。」そう笑いながらおっしゃった松瀬勇樹さん。普段は金融関係のサラリーマンをし、仕事帰りの夜間、もしくは休みの日にアトリエに来て、絵画制作をするアーティストだ。アトリエを石田倉庫のNO.5に構えている。 石田倉庫に初めて来たのは、26歳の時。アメリカの大学でファインアートを専攻し、ペインティングやドローイングなどを学んだ後、日本に帰国。絵画制作ができるアトリエを探していた時に、自宅から比較的近い石田倉庫のことを知り、立ち寄ってみたのだそう。
「その時、大家さんのご両親が対応してくださったのですが、今は空きがないから、空いたら連絡するとおっしゃって。その日は、縁側でお茶を頂いておしゃべりただけで帰ったんです。」 そこから10年経っても連絡はなく、ふと37歳になった時に思い出し、それから、ほぼ毎週末石田倉庫に様子を見に足を運び、2014年、ちょうど今のアトリエの部屋が空き、晴れて念願かなって入居できたと言う。「この“倉庫”の感じが好きなんですよ。」
子どものころから絵を描いたりするのは好きでしたよ。
「子どものころ、銀行マンだった親が休みの日に公園に絵を描きに行っていて。自分もよくそれについていってましたね。子どものころから絵を描いたりするのは好きでしたよ。」 話を聞いていると、ライフスタイルの中にごくごく自然に「ART」があって、他の趣味とも交差しながら、仕事と好きなことを両立させて、謳歌している様子が伝わってくる。“artist”というよりも、どこか“cityboy”という言葉がぴったりの雰囲気で、作品の言葉選びや、ひとひねりあるモチーフや表現も、ウィットに富んだ都会的な印象だ。 松瀬さんのシャポー(帽子)にビーチサンダルのファッションも気になるところ。
もしかすると相当なお洒落さんなのでは?「ビーチサンダル。そうそう、サーフィンが好きなんです。昨日も海に行ってたんですけどね。ビーチサンダルって便利なんですよ。」なるほど、アトリエの壁にも作品と同様、サーフボードやスケートボードが立て掛けてある。 「ファッションで言うと、大学卒業後すぐに、アパレルで起業したりしたこともありました。洋服とか好きなんですよ。でも、売れませんでしたねぇ(笑)。帰国してから、アーティストの仲間とzineやフリーペーパーも作ったりしていました。」
そういうわけで、実はまだあまり作品を描いていなくって。
「アトリエには、作品づくりに来てるはずなんですけどね。ほら、仕事が終わってから来るでしょう。お腹空いちゃったな、何か作ろうかなって。料理とかしちゃうんですよ。で、材料とかこだわっちゃうんで買い物にも時間かかっちゃって。料理が出来たら、アトリエにいらっしゃる他のかたをお招きしたりして、なかなか制作が進まなくって。何しにアトリエに来てるんだって話ですよね(笑)」 「そういうわけで、実はまだあまり作品を描いていなくって。」と、2015年の石田倉庫のアトリエ展では、作品展示の他に、仲間と一緒に窯焼きのピザ屋を開店した。
さすがにこだわり派のピザだけあって、連日大繁盛で完売。 大学ではARTを学んで、アパレルとITで起業、そして今は金融関係の会社に勤めながら、アトリエを構えて絵画の制作をしたり…。サラリーマンとアーティストという一見、結びつかない両極端な二足のわらじ(ならぬビーチサンダル)を履いている松瀬さん。気になる人は、年に一度開催の石田倉庫のアトリエ展をチェックして。