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池平 徹兵:Ikehila Teppei現代アーティストhttps://teppeiikehila.hatenadiary.com

東大和市を拠点に活動する現代アーティスト・池平徹兵さん。
一枚のキャンバスに無数のモチーフを重ねる独自のスタイルで、日常の中の何気ないものでも、描きたいと思ったものを全力で描き上げ、一つのアートへと昇華させる。

池平さんは“描きたい気持ち”を大切に、日々自分自身と向き合い続けている。

2025.11.26

「画家にならないと」と感じた幼少期
池平さんが画家を志したのは、わずか4〜5歳の頃。

幼い頃から本気で絵を描くと、周囲に「描いてほしい」と頼む人の列ができていたという。

その体験がきっかけで、「画家にならなければ」という使命感のような思いを抱いたと話す。
成長しても絵を描く情熱は変わらず、「どうして自分の絵が人を惹きつけるのかを知りたい」と考えるようになった。

しかし、進路は意外にも美大ではなく体育大学へ。

幼少期から体を動かすことが好きで、スポーツ全般が得意だったという。

「先生をしながら絵を描く生活をしよう」と考えていたが、教育実習を通して両立の難しさを実感。

「やはり本気で絵に向き合いたい」と決意し、周囲が就職活動を進める中で個展を開催した。

反対を押し切って開いた個展は見事に成功し、そこから画家としての道が始まった。

「最後のライオン」2021 162.0cm×324.0cm oil on canva

主役も脇役もない、すべてが必要な世界
池平さんの作品には、花や動物、食べ物など無数のモチーフが登場する。

それぞれが同じ画面の中で調和し、主役も脇役も存在しない。

すべてが主役であり、互いを引き立て合う世界が広がっている。
「この世のどんなものも、すべてを必要だと思って生きていきたい」と池平さんは話す。
制作は、毎日“その日に一番描きたいもの”をキャンバスに加え、描きたい気持ちが途切れたときは筆を止める。

絵を描く上で、何よりも自分の心に正直であることを大切にしているという。
ときには苦手な場所にもあえて足を運ぶ。

「渋谷やダイソーのように人が多い場所は得意じゃないけれど、美しいものや好きなものばかりに目を向けず、苦手なものも克服して好きになりたい」と語る。
嫌いなものを好きになるコツを尋ねると、「大切な人と楽しい思い出を作ることです。

苦手な場所でも、思い出が重なれば自然と好きになります。

渋谷もダイソーもそうやって克服しました」と笑顔で話してくれた。

アトリエ「池平徹兵アトリエ美術館」。作品と空間が溶け合うような温かな場所

借景の考えを取り入れたライオンの作品

「現代借景 渋谷 2」
苦手な渋谷を克服して描いた作品

「手をつなぐ金次郎」
現在、池平さんは東大和第一小学校に設置されている二宮金次郎像の修復プロジェクトに取り組んでいる。

像は85年前に寄贈されたもので、長い年月の中で左手が折れ、欠損したままになっていた。
像と向き合う中で池平さんはこう考えた。

「金次郎は、もし子どもが目の前に現れたら、きっと本を閉じて手をつなぎたいのではないか」。
欠損した左手は、今度は“誰かと手をつなぐ手”になれる。

池平さんはその思いを「手をつなぐ金次郎」として、“勤勉の象徴”から“共生の象徴”へと昇華させた。

左手の修復過程を経て生まれた「手をつなぐ金次郎」

本気で描くワークショップ
池平さんが各地で開催している「本気で描くワークショップ」。

子どもたちに“本気で描く”体験をしてもらい、その作品を自身の絵に重ね合わせて一つの作品に仕上げる。
アーティストが自らの作品に他者の絵を取り入れるという試みは珍しく、しかもその絵はアーティストや美大生ではなく、子どもたちの手によるものだ。
「自分の作品に入れるとなれば何でもいいわけではありません。

だからワークショップでは“上手く描く”ことではなく、“本気で描く”ことを伝えます。

本気で描いた絵なら自然と一つの画面の中で調和し、作品になります」。
ワークショップ後には、子どもたちが描いた絵を池平さん自身が模写し、自分の作品の世界へと取り込む。

「たとえ自分が描かなくても、“本気で描いた絵”ならアートとして成立する」それは池平さんが目指す、“主役も脇役もない、すべてを必要とする世界”そのものだ。

 池平さんが子どもたちの絵と一緒に作り上げた作品

世界へ広げる
これまで国内外で個展を開催してきた池平さん。

「海外で展示したことはありますが、自分が現地に行くことはほとんどないんです」と笑う。
今後は積極的に海外を訪れ、現地の空気や人々の反応を肌で感じたいと話す。
日本で行っている「本気で描くワークショップ」は、インターナショナルスクールでも成功しており、今後は海外でも開催してみたいという。

インターナショナルスクールの生徒と池平さん

“本気で描く”という信念を軸に、常に自分と向き合いながら新たな挑戦を続ける池平さん。

彼の作品は、見る人に「日常のすべてが大切な存在だ」という気づきを与えてくれる。
池平さんの活動や作品は、ご自身のInstagramでも発信されている。

日々の制作やワークショップの風景が感じられるので、ぜひのぞいてみては。
■お問い合わせ
Instagram:https://www.instagram.com/teppeiikehila
ブログ:https://teppeiikehila.hatenadiary.com

(取材ライター:星珠美)