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「アール・ブリュット立川2022~高松からの風~」開催

「展示とワークショップ オリジナルコースターつくり」

アール・ブリュットとは「加工されていない、生(き)のままの芸術」という意味のフランス語で、画家の「ジャン・デュビュッフェ」によって考案された言葉。伝統や流行教育などに左右されず自身の内側から湧き上がる衝動のままに表現した芸術と言われている。

アール・ブリュット立川は、2015年から主に障がいのある作家の作品展示などを開催し、今年8年目を迎えた。

2022.10.07

アール・ブリュット立川2022 ~高松からの風~

今年の「アール・ブリュット立川2022~高松からの風~」は9月6日~9月19日に開かれ心から湧き出る感情や、思いなどを表現した約40点の作品展示と、コースターつくりのワークショップ(9月11日のみ)が高松学習館で開催された。

開催会場である「高松学習館」は、地域の人々にとって身近な場所であり、日ごろから文化的なイベント開催などで、様々な人が足を運んでいることから、「作品を広く一般の人に見てもらい、感動を持ち帰ってもらいたい」という実行委員の思いを実現することができる場所でもある。

アール・ブリュット立川の展示作品は、2015年の活動開始当初から多くの人が「ほっとする」「ワクワクする」「癒される」作品であることにこだわってきた。

そこには、「より多くの人にアール・ブリュット作家の生み出す作品の素晴らしさを知ってほしい」「アール・ブリュットの魅力を伝えたい」という強い思いがある。

そのため、実行委員が作家のもとに足を運び、実際に作品を見た上でそれらの作品を集め、展示へとつなげている。

入口階段から会場まで続く初開催からのポスター

アール・ブリュット立川の紹介コーナー

展示作品は、力強さ・エネルギー・勢いを感じる作品、一つひとつのステップを丁寧にかつ繊細に進めたことがうかがえる作品など様々。

いずれも自由に、感じたままに表現され、作品が魂を持って、動き出すような迫力を持つ。

ワークショップ コースターつくり体験

作品展示とあわせて開催されたワークショップではコースターつくり体験が催された。 

真っ白な厚紙に「感じたままに線を一本でもいいから描いてみて」と、色鉛筆が準備される。思うままに「線を描く」「塗る」を繰り返し、気づいた時には楽しさが心を占める。

周りの参加者も、集中し一心不乱に筆を走らせる。

30分ほどかけて作品ができあがり、最後にフィルムを貼って完成となる。参加者も満足感と達成感で自然と笑顔になっていた。

臨床美術士の一言が創作意欲を湧き立てるワークショップ

コースターづくりの材料は様々な形のシール・のり、12色の色鉛筆、白い四角い厚紙

信頼でつながる実行委員会

「アール・ブリュット立川実行委員」は、もともと実行委員長の松嵜ゆかりさんが信頼できる仲間一人一人に声をかけて立ち上げ、活動に賛同して集まった信頼できる仲間だ。

実行委員は、美術の専門的な教育を受けた人が多いが、アール・ブリュットと出会い「自由・解放」の世界を知ったという。

一方、美術を専門としていない実行委員が感じたことや率直な意見は、専門教育を受けてきたメンバーには新鮮で、多くの気づきがあるそうだ。

実行委員の中には障がいのある子どもの介助や、家族の介護をしながら活動をするメンバーもいる。

アール・ブリュット作家の中には障がいのある方も多く、その特性や生きづらさに寄り添っていけることが、彼女達の強みでもある。

実行委員会を運営していくためには、企画、関係者との調整、作品集め、チラシ・ポスター制作、広報、会計など多くのやるべきことがある。

8人それぞれ毎日忙しく過ごしているが、一人一人できることを分担し、楽しく取り組んでいる。「私たちは8つのピース。一人でもかけるわけにはいかない」と強く言う。

これまで壁にぶつかることもしばしば。しかし、彼女たちの熱い思いと行動力、そして笑顔が多くの人の心を動かし、支援者も増えてきたのだろう。

アール・ブリュット立川実行委員会/取材中、笑い声で包んでくれた(左から)実行委員長 松嵜さん、事務局長 堀内さん、会計担当 川嶋さん

アール・ブリュット立川のこれから

活動当初から目指している姿、それは「障がいのある人の収入につなげる」こと。実現に向けて新たな取り組みが始まっている。

立川駅南口徒歩3分まちづくり立川「コトリンク」1Fにあるジバ―・カフェ (JIBAR CAFÉ)でのアール・ブリュット作家のグッズ販売や、食事提供時に利用される箸袋の製作だ。

箸袋は、紙漉きから印刷まで福祉事業所で請け負っている。

また、「多くの人に見て、知ってもらう」活動の一環として立飛ウォールペイントプロジェクト「ドリームロード」も実施中。

笑顔いっぱいで元気に楽しく活動を続けている松嵜さんに、次に実現したいことはなにかを聞いた。

「次の世代にこの活動のバトンを渡したい」。

8人で8年目を迎えたアール・ブリュット立川は次の世代のメンバー探し、育成などまだまだ忙しい毎日が続きそうだ。

◆アール・ブリュット立川

https://artbruttachikawa.wixsite.com/artbruttachikawa

◆アール・ブリュット立川 Facebook

https://www.facebook.com/artbruttachikawa

◆アール・ブリュット立川 Instagram

https://www.instagram.com/artbruttachikawa/

◆ジバーカフェ

https://www.tamatebakonet.jp/shop/detail/id=14431

 

(取材ライター:後藤直子)