立川カルチャーを支え続ける老舗グループ企業
東京中央都市開発株式会社
立川の文化を支える東京中央都市開発株式会社(旧社名は多摩中央産業株式会社)。その名の通り、もともとは多摩地区を中心にした不動産会社だったが、大手町支店の開設に伴って昨年7月1日、会社名を変更。今後は多摩だけでなく、東京のいろいろな場所で事業を手がけていく企業だ
立川市の老舗企業である同社は、オリオン書房を運営する万田商事株式会社、JR立川駅南口駅前の商業施設「アレアレア」を手がける有限会社立川みなみルネッサンス、多摩中央商業開発株式会社とグループ企業であり、立川市の文化風土の形成に大きな役割を担っているからである。
立川文化芸術のまちづくり協議会が行う自主事業「ワークショップ×ワークショップedu」にも2年連続で協賛支援する経緯について、「小さいお子さんから幅広い世代が集まったと聞いた。お役に立てたのなら嬉しい」と今回、お話を伺った取締役総務部長の田中正浩さん。街の文化事業への取り組みに思わず顔をほころばせた。他にも同社はファーレ立川アートの修繕の際にも大口の協力を行っている。
【立川市の文化拠点として】
万田商事が運営するオリオン書房は、戦後の1948年12月に、今のアレアレアがある地で創業し、立川の地域密着型の書店として発展してきた。2008年、営業を停止した雄峰堂書店の全8店のうち上石神井店、秋津店、所沢東口店、小平店の4店舗跡地に出店し立川市外へと営業を拡大。2013年に日販とカルチュア・コンビニエンス・クラブと資本・業務提携、Tカードの使用もできるようになった。
店舗の名前に「オリオン」と名付けたのは、開店時、師走の夜空に一番星として君臨していたから。オリオン書房のホームページ(http://www.orionshobo.com/)にはこう書かれている。
”地域に根ざし、地域に愛される本屋で在りたい”
馴染み深く多くの人に愛される星、オリオン座にあやかって
オリオン書房 と命名しました。
現在、立川市内にオリオン書房は、ルミネ立川店(ルミネ立川8階)、ノルテ店(パークアベニュー3階)、アレア店(アレアレア〔2〕 3階)、サザン店(サザン2階)、ららぽーと立川立飛店(ららぽーと立川立飛1階)の5店舗があり、他にグループ店として、TSUTAYA立川柏町店、TSUTAYA立川南店、チケットぴあステーション立川アレア店、本棚珈琲ノルテ店、本棚珈琲ららぽーと立川立飛店、PAPER WALL エキュート立川 エキナカWEST店、PAPER WALL エキュート立川店がある。まさに星座のように、立川の文化を照らす綺羅星として市内各地に点在している。
【アレアレアの取り組み】
立川駅南口を出てのモニター映像でおなじみの商業ビル「アレアレア」、オリオン書房創業の地に建てられ、地権者は有限会社立川みなみルネッサンス、販促を多摩中央商業開発株式会社が行っている。
立川駅南口の再開発事業によって誕生した「アレアレア」は、2005年4月に開業。立川駅に向かってモニターを設置された「アレアレア1」と、モノレールの立川南駅に隣接する「アレアレア2」の2棟がある。アレアレアの名称の由来は、フランスの画家ポール・ゴーギャンの作品名からと、ポリネシア語で「たのしい」の意味。
アレアレア2の3階にあるフードテーマパーク「ラーメンスクエア」の中心部はイベント広場になっており、アイドルやお笑い芸人のライブのほか、月に2回、万華鏡、オリジナルキャンドルなど小物を作る「わくわくワークショップ」を開催。4月8日(土)にはオリジナルストラップを作るワークショップに先着100名が無料で参加できる。
イベント広場は昨年、立川青年会議所が制作した立川市のプロモーション・ムービー『立川メリミー』のロケ場所にもなった。
※『立川メリミー』…2016年公益社団法人立川青年会議所ブロック大会記念事業として、立川青年会議所を中心とした実行委員会で作成した立川市シティプロモーションムービー。ヒロイン役にアイドルグループ「仮面女子」の窪田美沙、直木賞作家で立川文学賞審査委員長をつとめる志茂田景樹が出演。監督は福山功起。
【地域に密着するために】
「オリオン書房はごく普通のまっとうな本屋。電車の中で本や雑誌が読まれなくなった時代、地域密着でがんばります」と田中さんは言う。しかし、地域密着と一言で言っても、その実態は簡単ではない。大手資本のナショナルチェーンの書店とは違う独自色を各店舗が備えている。
例えば、ルミネ店は若者が多いので、雑誌、婦人誌、婦人書を厚めに置く。一方、ノルテ店はルミネ店と歩いて数分しか離れていないので、同じような品揃えでは、お客さんを食い合ってしまう。そこでノルテ店の、立川駅から距離はあるが店面積は800坪あるという「遠い・広い」という特徴を活かして、専門書を充実させ、客層も年齢層を少し高めに設定して客単価を上げることで、「専門書が売れる本屋」を目指した。
また、オリオン書房は路面店でなく、ビルの中にあることが多いので、ビルに来るお客さんにあった店舗を作ることも心掛けているという。特に、エキュートに入っている二つのPAPER WALLは、どちらも発信力のある品揃えとなっている。不動産とコンセプトの融合によって発信力のある書店を生む、これがオリオン書房の独自性であり、地域密着の秘訣であるのだろう。
切り口を変えていくことで、同じオリオン書房でも店によって空気感が違う。客はその中から自分の好みやニーズに合った「マイ書店、マイ店舗」を選ぶことができる。そうした本屋さんはきっと愛され、街の文化拠点としての輝きを放ち続けていくのだろう。
◆東京中央都市開発株式会社
〒 190-0023東京都立川市柴崎町三丁目11番21号
TEL:042-524-4033(代表)