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世界でも類を見ない挑戦 街とアートが融合した『ファーレ立川』

ファーレ立川

立川市は1922年、立川飛行場が開設され「空の都」として、戦後は米軍に接収され「基地の街」として、栄えていた。
1977年、基地は全面返還され、返還跡地の利用に国営公園、広域防災基地、そして立川駅に近い地域の街づくりがはじまることになる。
「新しい街作りにアートを入れ込む」。
都市の機能にアート作品を取り込む、世界的にも類を見ない計画がスタートした。

2017.07.21

36か国92人の作家による109点の作品が立ち並ぶ

1983年(昭和58年)頃の、旧立川飛行場(現在のファーレ立川)

1983年(昭和58年)頃の、旧立川飛行場(現在のファーレ立川)

この大規模な事業を受け、革新的な案を打ち出したのは、アートディレクターとして世界的に活躍していた、北川フラムさんが代表を務めるアートフロントギャラリーだった。

コンセプトは3つ。「世界を映す街(この混沌とした時代に生きる多様な考えを埋め込んでいく)」であること。「機能を美術に!都市の機能をアート化する」こと。「驚きと発見の街」街を回遊して見つけて驚くしかけがしてある)」であること。

この3つのコンセプトが、北川フラムさんにより、それぞれの作家に伝えられた。

1987年(昭和62年)、ファーレ立川の建設前の町並み

1987年(昭和62年)、ファーレ立川の建設前の町並み

1992年(平成4年)、ファーレ立川の建設中の様子

1992年(平成4年)、ファーレ立川の建設中の様子

5・9ヘクタールの広大なエリアに、36か国総勢92人の作家による109点の作品が設置された。「基地の街」から「文化の街」を目指し、イタリア語の「FARE(創る・創造する・生み出すの意)」に、立川の「T」をつけ、このエリアは「FARET(ファーレ)立川」と名付けられ1994年10月13日、ついに新しい街に生まれ変わった。

アート作品の設置作業の模様

アート作品の設置作業の模様

アート作品の設置作業の模様 

開発には困難を極めたが、見事完成したファーレ立川は、1994年度の日本都市計画学会設計計画賞を受賞。国内外の都市計画からも高い評価を受けた。

しかし、他に類を見ないだけに、当時は全ての人に理解が届いたわけではなかった。

 

「この地域の魅力を知ってほしい!」ファーレ倶楽部が誕生

今年のファーレ倶楽部定例会

今年のファーレ倶楽部定例会

1996年、ファーレ立川の魅力や価値を、より多くの人々に深く知ってもらうため、市はアートツアーコンダクター養成講座を開講。ファーレ立川に点在するアート作品のコンセプトや、そしてそれが「なぜ、できたか?」などを学ぶ講座に、多くの市民は関心を寄せた。

その翌年「このエリアの魅力や、世界的な価値をより多くの人にもっと知ってほしい」と講座受講生ら有志が集まり、「ファーレ倶楽部」がスタート。現在、同倶楽部会長である松坂幸江さんも、そんな1人だった。

「その頃、立川に引っ越してきたばかりで右も左もわからなかった。私自身、美術が好きなこともあって、この魅力的なエリアのことを知り、興味が止まりませんでしたね」と当時を振り替える。

 

市民、企業、行政が一丸となって守るエリアへ

17.3.18春ミュージアムデー2

ファーレ倶楽部のガイドの模様

ファーレ倶楽部のガイドの模様

ファーレ倶楽部は、その後、ファーレ立川の作品を解説するボランティアガイドとして活動。これまで20年間で24,000人を超える人たちを案内してきた。

ファーレ倶楽部の、積極的な活動の甲斐もあり、次第にその価値を認める声も多くなってきた。

「まち全体でこのエリアを守っていこう」と、市、周辺企業、個人らが一丸となった「ファーレ立川アート管理委員会」が発足。

都市と一体となった作品群だけに次第に傷み始め、将来への作品の維持などが不安視されていたが、「ファーレ立川アート管理委員会」の協力で修復作業が行われ、HPの開設、チラシ作成、外国語対応専用のアプリの開発など、このエリアの魅力発信を、街一丸となって行っていくまでとなった。

作品群の清掃イベント「ぴかぴかワークショップ」の模様

作品群の清掃イベント「ぴかぴかワークショップ」の模様

「ぴかぴかワークショップ」は誰もが楽しめるように、企画されている

「ぴかぴかワークショップ」は誰もが楽しめるように、企画されている

2008年からは、立川市の小学5年生の図工の授業にファーレ立川のことが取り入れられ、見学ツアーが組み込まれるようになった。今、このエリアは「オール立川」に支えられ、愛される、地域の宝となった。

「この街ってもっと面白いんだよ!ということを多くの人に知ってほしい」とファーレ倶楽部の松坂さん。「美術館と違って触れるアートが街に点在しているのがファーレ立川。街を楽しく歩いて、1人でも多くの人にその魅力に触れてほしい」と笑顔で話していた。

海外から訪れる人をガイドする同倶楽部メンバー

海外から訪れる人をガイドする同倶楽部メンバー 

同倶楽部では定期的に、清掃活動と組み合わせたワークショップやイベントなどをも企画している。
ファーレ倶楽部HPはこちら

 

◆ファーレ倶楽部事務局

TEL:042-531-9667(松坂)
E-mail:faretclub@gmail.com