
TACHIKAWA
BILLBOAD
東京・立川周辺のART&CULTURE情報
「起業という挑戦」
「会社に勤めていた頃、副業で何かやりたいなと思っていたのですが、当時は子育てもしていたのでなかなか難しく。
意を決し会社を辞めて貿易コンサルタントとして起業しました。
しかし起業してすぐにコロナ禍になってしまい、何もしないうちに転職活動することになってしまったんです。
転職活動は難しく、派遣などで繋いでいました。
そんな時、有田焼の老舗の営業の方との出会いがあり、日本の物を海外に輸出する貿易コンサルタントの仕事をしたくて起業したこともあり、器を扱うギャラリーとしてスタートしました。
やることが決まり、それに伴い仕事がどんどん繋がっていき今に至りました。
最初の頃はお客さんも4人位しかこなくて」とモロダさんは笑う。
コロナもあり会社にも社会にも戻れない状況に諦めかけたが、「~できたら」「~したら」と自分に「たら」をつけて一つ一つの壁を乗り越えていった。
「知らないことが多かったからこそ」
「もともと小さな頃から、ただただ絵が好きでした。
でも絵で食べていけるとは思っていなかったし、美術を学べる学校があることすら知らなかった。
勉強もそこそこ運動もそこそこで地元の進学校に進んで、地方公務員になりました。
時代ですよね。最初の就職先は学校事務でしたが、部活などの顧問を担当してスカスカな自分が先生といわれることに思い悩んでいた頃、事故にあった犬を無我夢中で助けたんです。
自分の思い悩む気持ちと犬の姿がオーバーラップしてしまって、大泣きしてしまい何もできないまま、このままでいいのだろうか、今まで自分で選んでこなかった、言われるまま『いいねそれ』で、来てまったことに自問自答し、このままでは駄目だと思い大学を受け教員免許をとりました。
教職員には戻れなかったのですが、ずっと絵は描き続けていました」と「自分で選んでいく」という道を歩み始めた頃の思いを話す。
「応援する側になりたい」
「子育ても落ち着ついた頃、30代でイラストレーターを目指す女性の自伝を読んで気持ちが盛り上がってしまったんです。
すぐに、現役のプロのイラストレーターが1年間教えてくれるパレットクラブというイラストスクールに通たんです。
週末に画材だけ持って通うことが楽しくて楽しくて。
そのスクールは社会人の方や美大卒の方が多く、プロでやっていきたい人ばかりの中で、ほんとうに刺激的でした。
そんな中で学ぶうちに、プロになる方たちを応援できる側になりたいと思ったんです。
その時は、何かという具体的なことは頭に思い浮かばなかったのですが『一人でいつか何かやる時は声をかけます』とスクールを卒業しました。
それからアドバルーン商会を始めて2年後、10人ほどの同期の仲間とグループ展を開催しました。
ギャラリーを始めてからは、画家の草羽揺二さんのように『やりたいです』と言って入っている方もいますが、貸しスペースとしてではなく、私が作品をみて話をして『いいな』と思った方を中心にギャラリーとして運営しています。
学生の方の場合は作品を見てグループ展というよりは個展がいいと思った方とやりたくて、初個展なら尚更、しっかりとバックアップをしています」と力強く話す。

画家の草羽揺二さん 個展のテーマは「耽美」
「偶然の出会いがつながっていく」
「知り合いの作家さんの益子の工房に行った際、陶芸家の馬野真吾さんの作品が工房の隅っこにひっそりと重なって置いてあったんです。
この器はどなたの作品ですかと伺ったら、この窯を借りていた馬野さんが徳島に引っ越したため、残った焼きあがりの器を送ろうと思い、たまたま置いてあったそうです。
なぜか気になってしかたなく紹介をしてもらいました」。
それまで好きだった器とは「全くタイプが違ったところ」に惹かれたという。
アドバルーン商会がここにオープンするまでも様々なハプニングがおきたが、その度に人との繋がりに救われてきたという。

馬野真吾さんの作品
「旅するギャラリー」
「今、器と絵は半分半分で展示をしているのですが、器の作家さんに『諸田さんの絵を一緒に飾って欲しい』と言われたり『個展のDMを描いて欲しい』と言われたりすることも出て来たが、仕事というより絵を好きなこととしてしか考えていなかった。
今は自由な形で応援もでき大好きな絵も描けて、とてもいいバランスになっているので続けていけたらと思います。
それから、ここで個展をする作家さんたちから『地元では展示をすることがない』という声を聞いたことで、作家さんの地元での展示を何回か実現することができた。
これからもアドバルーン商会展として、各作家さんの地元で『一緒に旅するように』展示をしていけたらなと思っています。
力をいれていきたいことですね」と明るく話す。

5周年のオリジナルトートバック。トレーナーもおすすめ デザイン堀 道広:Michihiro Hori
取材中にもご近所の方が立ち寄り話が弾み「ここに住んでいて良かった」と言う。
アドバルーン商会は、訪れる人にも作家の方たちにもギャラリー以上の場所になっている。
■ アドバルーン商会
HP: アドバルーン商会
Instagram: @ad_balloon_sho
10月に「アドバルーン商会」書籍発売。
(取材ライター: 高橋真理)