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暮らしを豊かに、ここからうまれるお店Cafe cocokara

Cafe cocokara

立川駅北口から徒歩6分。大通りから一本入ったシネマ通りにの片隅に、街の人々の憩いの場「Cafe cocokara」はある。

入口には店主が選んだ絵本が並んでおり、下校中の小学生たちが楽しそうに眺め、帰宅途中に店主に挨拶する和やかな空気が流れる。
大人から子どもまで、街を行きかう人たちを笑顔にする同店を営むのは、店主・加藤友里恵さんだ。

2024.03.14

震災をきっかけに「街に”人が集う場所”を作りたい」

店舗近くの曙橋 スクランブル交差点で人々が行き交う

1本路地を入った場所にある黄色い看板が目印の「Cafe cocokara」

生まれも育ちも立川市。中学生から高校生まで吹奏楽部でホルンを担当していた。
白梅短期大学の保育科で学び、卒業後は保育園に 1 年間勤めたが、成人式の時にゲスト出演した 1組のバンドに出会い、音楽の世界に魅了された。

友人の通う大学の課題に協力する形で、地元地域活性化の音楽イベントの企画サポートをしたことをきっかけに、 「 まだ世に出ない、才能あるバンド送り出すサポートがしたい」と、 新しい夢を叶えるため、保育園を退職。一念発起し音楽の世界に飛び込んだ。

店主の加藤友里恵さん

2007 年に立川駅前の高島屋1階入口で、地域のスポンサーを集め企画した野外ライブイベント「アコースティックフェスティバル」。

想定を越えた、多くの来場者で賑わい、春と秋の年 2 回開催し、このイベントをきっかけに形を変えてアーティストサポートを行いながら約10年間携わった。
その後、フランスと東京を結ぶ音楽イベント会社では「音楽の祭日」に、上野公園でのライブイベントの運営に携わり、六本木の音楽事務所で丁稚奉公としてインディーズバンドを世に送り出す仕組みを学ぶなど、精力的に活動を行っていく。

立川市内の音楽活動で関わりのあった「FMたちかわ」から声がかかり、ラジオ制作の仕事も始めた。
そんな加藤さんに、再び転機が訪れる。

2011年に起きた東日本大震災。

成人式で出演していた仙台出身のバンドメンバーが復興支援プロジェクトを立ち上げたので、スタッフとしてフリーマーケットや物資で資金集めの活動に参加した。
「そこで見た”人が集まれる場所の大切さ”を感じた。 自身が携わってきた音楽の世界、それと食事が楽しめる場を作りたい」、と再び一念発起。

まったくの未経験だったカフェの起業に向け専門学校へ通い、代官山や渋谷のライブカフェや立川の日本酒バル、町田のレストラン「まほろ座 MACHIDA」で社員として働くなど、様々なジャンルのお店で修行を重ねた後、2017年にCafe cocokara を開業した。

「きんじょの本棚は自由に貸し借りができる街の図書館。Cafe cocokaraも活用する

 

「明日もがんばろう」誕生したCafe 店名のcocokaraに込めた思いは

「ここから はじまる」「 ここから つながる」「 ここから うまれる」。
「人との出会いの場や、ふと訪れたお客様が自分と向き合い 明日もがんばろう』という活力になれたら」という気持ちを込め 店名を「cocokara」 と名付けた。
オープン後も一貫してこだわるのは「暮らしを豊かに」。
訪れる人の毎日の暮らしが、少しでも豊かになるよう、cocokaraでは地元野菜を中心に使用した体にやさしく、栄養バランスもとれるお弁当やお菓子を作っている。

季節や行事に合わせたクッキー缶は様々な型抜きクッキーと可愛らしいパッケージで、オンラインショップでもランキング上位に入る人気ぶりだ。

2022年に販売されたお店のコンセプトが詰まったレシピ本「7DAYS美ボディ」

ホワイトデークッキー缶

店内には立川観光コンベンション協会の認定推奨品として選ばれた、立川産の野菜を使った小松菜のクッキーとにんじんのクッキーも。
開発にはパティシエの姉が子育て中に作ったことをきっかけに生まれた。
「小松菜やにんじんは香りやえぐみで、子どもがが苦手とすることが多いが、お菓子として形が変わることで、子どもたちの先入観が抜ける。

生野菜の状態で生地に練り込むことで、臭みが出にくく美味しく食べられる」と好評だという。

バターと卵不使用なので 1 歳半の離乳食期の子どもから食べられる。

立川観光コンベンション協会認定推奨品の小松菜のクッキーとにんじんのクッキー

 

「地域に根付けたこと。それが何より嬉しい」
オープン当初はイートインスペースがあり、夜まで営業していたが、コロナ禍により営業スタイルを変えざるを得なくなった。

店舗スペースとして換気やコロナ対策が万全な体制で行えるかを検討した結果、椅子やソファーを撤去。
そんな不安を抱える中、コロナをきっかけに お子さま弁当』を始めた。
学校の休校の際、 「お昼ごはん問題」を抱える家庭支援のため始めた、お弁当作りだ。

が、これをきっかけに、近隣の小学生たちは気軽に加藤さんに声をかけ入口の絵本を眺めたり、お小遣いを片手にお菓子を買いに来るなど、新しい交流がうまれたという。

「この時、地域、商店街にちゃんと馴染むことが実感できた。

当初の夢だった人が集う場所になれたのが何より嬉しかった」と振り返る。

コロナ禍、転機となった「お子さま弁当」

現在もテイクアウトを専門に営業。

焼き菓子の売れ行きが好調になり、オンラインショップやUber Eats の活用で、カフェの運営も復活し始めている。
だが席を設けて今までのように営業したいこと。

現状としてイートインスペースが配送資材などを保管しているのもあり以前のように営業することが難しくなってしまったこと。

今も葛藤の日々を送る。
店舗営業ではお店の雰囲気が分かるため、

「それを好んでくださるお客様に楽しんでいただけたら」という想いにに対して、駅近ではない、イベントに参加することで不特定多数の市民に知ってもらい、カフェに来店するきっかけ作りをしている。

店内は加藤さんこだわりの焼き菓子でいっぱい

GREEN SPRINGSで開催されるGREEN GROWN MARCHEの模様

夢を叶え、「大人になることの楽しさを、子どもたちに伝えたい」

「立川で生まれ育ったことや音楽関連の仕事をしていた時に、地元の人々の助けと支えにより自由に活動させて頂いた」ことにこの感謝の想いが常にある。
お世話になった立川に恩返しがしたいという想いがあり、ここでお店を構えた。
何より「子どもの頃からバスで通っていたお店近くの商店街がシャッター街になってしまったのが寂しく、若者が自分たちで出来ることに利用して、シャッター街と化した商店街を活性化出来ればと、大好きな立川で活動を続けたい」と考えている。

イメージキャラクターのココカライオンのオリジナルグッズたち

マスコットキャラクターのココカライオンや能登半島地震の復興活動のWITH YOU缶バッジに協力

今後の展望について「音楽イベントやマルシェなどのイベント運営をしてきたので、東京蚤の市のようなイベントを企画して”立川といったらコレ”という、マルシェと音楽が融合したイベントを根付かせたい」と加藤さん。

「 『大人になるって楽しいんだよ』という言える大人でいたい。
子どもたちに夢を追いかけて叶えることを楽しんでほしくて、人に楽しんでもらいたくて、自分で作って形にしていく背中を子どもたちに見せられる人でありたい」と 目を輝かせ話し
てくれた。

◆Cafe cocokara
〒190-0012
立川市曙町2-28-10
TEL:042-512-7159

(取材ライター:小倉千紗)