大人が自由にアート表現を楽しめる場「UMUM大人アトリエ」https://umum.art/
大人になると自由に自分を表現する機会は意外と少ないもの。
普段の仕事や生活のなかではルールや人目を気にし、また最初から成果を求められたりするなど、ちょっと窮屈。
「たまにはそんなことを気にせずに自分らしい表現を楽しみたい」という人のためのアート制作のワークショップが4月29日に開催された。
場所は錦町にある立川市子ども未来センター。
広い中庭に木が茂り、多くの市民が思い思いに過ごす開放的な施設だ。
地上2階地下一階の建物の一室に幅広い世代の7人が集まった。
参加者はイベントサイトからの応募や、知人の紹介など、各々このワークショップに興味を持って申し込んだ人たちだ。
ワークショップの主催者でファシリテーターをつとめるのは、株式会社UMUMの田中令(たなか れい)さん。
美術教育家として立川市や日野市を中心にアート制作のワークショップを長年開催している女性だ。
参加者全員が集まったところで、令さんが明るく参加者に声をかけ、ワークショップが始まる。
最初に全員一人ずつ自己紹介。
名前は本名でもニックネームでもOK。
仕事や趣味、最近興味があることなど自由に語っていく。
アート制作の経験は人それぞれで、以前にUMUMのワークショップに参加したことがある人や自分の子どもと一緒に絵を描くことが好きな人から、普段は全く描いたり作ったりすることはない、という方まで。
アーティストやプロのデザイナーはおらず、アートは好きだけどきっかけがないとなかなか自分で作ったりはしない、という人がほとんどだった。
部屋には白い大きなビニールシートが引かれた机があり、その上に画材や素材がたくさん並んでいる。
クレヨンやカラーペンといった誰もが見慣れた画材から、7Hから7Bまでの濃さの鉛筆、ドイツファーバーカステル製の色鉛筆、アクリル絵具、オイルパステルなどちょっと大人向けの質の良い画材まで様々だ。
白い画用紙や色紙、段ボール紙、クラフト紙、20種類ほどの筆や刷毛、櫛やスポンジなども置かれている。
令さんがそれぞれ画材の特徴や使い方を説明するが、説明は簡単に済ませ、「さっそく手を動かしてみよう」と声がけされ、ワークショップがスタートした。
参加者は少しとまどいながらも普段手にすることが少ない、久しぶりに見る画材を手に触れてみる。
各々選んだ紙に線を引いたり広く塗ってみたりしている。
記者も一緒に参加してパステルや絵の具と筆を手にとって白い紙に描いてみた。
具体的に何かを描くというより画材の感触を確かめながら線を描いてみた。
白い紙の上に鮮やかな色が次々に生まれて目に飛び込んでくる感じがなんだか楽しい。
子どもの頃初めて触る画材にドキドキわくわくした記憶が蘇る。
他の参加者も色や画材を変えながらどんどん何かを描いている。
いろんな色を塗り重ねている人や、花や山の風景を描いている人。
中には手に絵具を塗って紙に押し付けたり、くしゃくしゃにした紙に絵具を塗ってシワの模様を楽しんでいる人も。
令さんは参加者が自由に描く様子を暖かく見守っていて、表現方法を迷っている人がいれば画材やその使い方を勧めたりしている。
参加者同士は「その色素敵ね」「うわ〜大胆だね」などとおしゃべりしながら楽しんでいる様子。
一枚をじっくり描く人も、次々に新しい表現を試す人もいてペースも様々だ。
作品は本人が完成したと思えば令さんが壁にどんどん貼っていく。
他の人の作品を見ていると自分でもちょっと真似してまた描きたくなる。
気づけば3時間経っていて壁には20枚以上の作品が並んでいた。
最後は出来上がった作品を鑑賞しながらみんなでおしゃべり。
令さんが「ここは何を表現したの?」「この表現おもしろいね」と参加者に声をかけていくと、「今日の気分を表現してみた」「最初は戸惑ったけどだんだん思い切り描けるようになった」「絵具のいろんな色を出していたら夢中になった」など、みんな楽しそうに答えていた。
他にも「久しぶりに手を動かして楽しかった」「普段使わない頭の部分を使った」など、いつもと違う体験ができたことを喜ぶ声も聞かれた。
このワークショップでは、ファシリテーターの令さんが作るゆるくて安心できる雰囲気と、手にとって描きたくなる豊富な画材があることで、参加者が自由に表現できる場なのだ。
そしてアートは上手い下手ではなく、人それぞれの個性が大事だと感じられる体験だった。
UMUMのアートワークショップは大人向けだけでなく、子ども向けも定期的に開催されている。
◆UMUM
公式サイト:https://umum.art
facebookページ:https://www.facebook.com/umumart.tokyo
instagram:https://www.instagram.com/umum.art/
(取材ライター:いけさん)