ベートーヴェン 「歓喜の第九」が立川に鳴り響く
フレッシュ名曲コンサート「べートーヴェン 歓喜の第九交響曲第9番 二短調op.125<合唱付>」が10月20日、たましんRISURUホールで開催された
指揮者は日本を代表するマエストロの小林研一郎さん、管弦楽は日本フィルハーモニ交響楽団、ソプラノの今井実希さん、メゾ・ソプラノの増田弥生さん、テノールの後田翔平さん、バス・バリトンの山下浩司さん。この日を迎えるために、4月から「日本フィルと歌う立川第九合唱団」が結成され、厳しい練習を重ねてきた。
ドイツ語で歌うため、初心者は経験者より早めに練習を開始する。合唱指導は「認定NPO法人おんがくの共同作業場」の郡司博先生、渡部智也先生から厳しく指導を受けた。
「コバケン」の愛称で人気のマエストロの知名度からか、例年より参加者が多かったようだ。
年齢層も様々。「若い頃歌ったことがあったが久しぶりに『コバケン』だから歌ってみよう」と参加者の一人が言っていた。他にも中学生、高校生の参加もあった。
コンサート前日にはマエストロから直接指導を受けるリハーサルがたましんRISURUホールの小ホールで行われた。
グリーンのジャケットを身にまとったマエストロが登場すると、合唱団にピリッとした緊張感が走る。ソリストの皆さんも拍手で迎えられ練習が始まった。
舞台で見るよりマエストロは小柄な印象ではあったが、「練習成果を聞かせて」「今からでも出来なければ外に出すよ」という厳しい声が聞こえたかと思うと、「いいですね。ありがとう」と優しい声もかけられ、合唱団を激励していた。ドイツ語の語尾のチェック、「音が深くなるから」と頬に手をあて歌わせたりとポイントポイントを少ない時間の中で的確に指導していく。緩急をつけたアドバイスで合唱団の皆さんも、最後の仕上げに充実した顔を見せていた。
その後、大ホールに移り、オーケストラとのリハーサルで細かい調整が行われた。
大ホールの舞台に立つそれぞれの思いを胸に、実際に明日のイメージがわいてきたことだろう。
当日、黒い上下の正装をした合唱団の皆さんは、自分のため、また来てくれている家族、友人たちに向けて、練習してきた発表の場を迎えた。
交響曲第9番 二短調op.125<合唱付>の第1楽章から第4楽章で成り立つこの交響曲は日本で最も知られているといってもいいであろう。
年末になるとよく聞くことのあるあの曲だ。
配られたパンフレットによると「歌詞は、シラーの<歓喜に寄す>だが、第四楽章で合唱に先立ちバリトンが歌う『おお、友よ!このような調べではない、もっと心地よい歌を歌おうではないか、歓喜に満ちた歌を…』という歌詞はベートーヴェン自身によるもの」。
世界では、いさかいが絶えない地域もあるが、それを超えて 「兄弟たちよ!」と歌う、歌詞の意味を舞台で考えて歌おうと、マエストロがリハーサルで話し、合唱団の皆さんは堂々と舞台の上で晴れ晴れしい笑顔で歌っていた。
マエストロの指揮は終盤のオーケストラと合唱の盛り上がりを、客席に向けて放った。
歓喜の歌の余韻に浸りながら「ブラボー!ブラボー!」の声が会場を包み、幕は閉じた。