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TACHIKAWA BILLBOAD東京・立川周辺のART&CULTURE情報

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こくぼ かずこ:Kokubo Kazuko森のなか オーナーhttps://www.instagram.com/morinonaka2013/

西国分寺駅から少し離れた住宅街。
地元の人たちから愛される花屋さんがある。

花を求める人たちのイメージを具現化し、オリジナリティ溢れる提案をしてくれる。
「この場所を借りる時、大家さんに『こんな場所で大丈夫?』と言われたんです」と、こくぼさんの明るい声が響く。

2026.06.03

20代は違う仕事をしていた。

もともと花よりも植木が好きで、それに関わる仕事を探し花屋で働き始め、今に至った。

「花については花屋で働き始めてから学びました。

このまま雇われて働いていくのは難しいかなと思い、だめもとで独立しました。

花屋としての独立は遅い方なんです」。

 

「人の頭の中にある物を作りだす」
「様々な形でオーダーを頂く。

お客さんの頭の中にある『こういう物が欲しい』という物を、どこまで再現できるのだろうということを大事にしています。

オーダーに向き合う時は、嬉しさや楽しさではなく、苦しさや、気に入ってもらえるだろうかなど、プレッシャーの方が大きいですね。

作家のように自分の血と肉から出てくるような作り方ではなく、お客さんあっての商売。

自分の物を作っているわけではなく人の物を作っている。

職人に近いかなと思っています。

なのでオーダーが完成した時、お客さんに『思った通りでした』と言って頂けると、とても嬉しいです」と話す。


天井には無数のドライフラワーがつるされている

 

「実験と試していくこと」
「最近試してみて驚いたことは、ドライフラワーにはなりにくいと思っていたガーベラが、ドライフラワーになったこと。

花は生ものなので、どうしても寿命ある。

お客さんが楽しむ時間も考慮すると、みなさんが思っているよりも寿命が早いんです。

なので、ドライフラワーにしてオーナメントやリース、二次的なものに加工し形にしていく。

それは私の遊びの部分で作るものなので、オーダーとはまた違い、楽しさがあります。

私は、先ず頭の中でイメージし尽くしてから作り始め、完成形まで作ってしまうんです。

『次はどうする』と問いかけながら、どうしたら素敵に見えるか、手に取ってもらえるのか、できあがりまでを考える。

見切り発車で作り出すことはないんです。

頭の中で作り出し思い通りの物ができあがった時は、すごく達成感があります。

ドライフラワーはやむにやまれず作ることが多いからこそ、段取りをしっかりしたいんです。

例えば料理のレシピを作っていくことに近いかもしれません」。

春は乾燥しているのでドライフラワーにしやすく、乾燥が早いことで色もきれいに残るという。


お店の中はシーズンによって花のボリュームや彩が変わっていく

 

「これがなければいけないはない」
「花を仕入れる時は、この花や色がそろっていなければならないとは思ってはいなくて、自分がいいなと思うものを仕入れています。

花束にこれを入れたら面白いなとか。

生けたら素敵だなとか。常連さんたちの好みが浮かぶ時もありますね。魚屋さんたちと同じで早起きです」。

 

「花器はあるだけあっていい」
「生活空間の中で花を飾る人が増えるといいなと思った時、100均でも高価なものでも、なるべく多くの種類の花器を揃えるようにしました。

それは『この花瓶に合うような花が欲しい』と写真を持ってこられるお客様も多く、売り手側として、生けやすさや生けた時の状態がどうなるのかを様々な花器で試しておきたいんです。

それと、お店でも気軽に購入してもらい、季節によっても使い分けてもらえたらという贅沢な思いもふくまれています(笑)」。

こくぼさんのお気に入りの壺と花瓶

 

「花があることで完成する」
「真夏は水が温かくなって濁りやすいので、ガラスよりも備前などの花器を使うと意外と涼しげで、一輪であっても夏らしさが出ます。

冬にガラスの水を見ると、雪解けの冷たい氷の様な凛とした季節感が出て、寒々しさよりも清らかさを感じられる。

造形美としての花器の良さもあるんですけど。

花器があって、そこになにを生けたら季節感や美しい形ができあがるのだろう。

たった一輪でも、そっといれてみて形になる。

一輪でもいいんです。

今の気持ちで飾るということをしてもらえたら。

訪れるたびに季節を感じられるし、楽しんでほしいので遠慮しないで花屋さんに来て欲しい」と思いを話してくれた。

こくぼさんに話を聞いている間も途切れなくお客さんがやってくる。

「いつものね」だったり「枯れにくいものを」だったり、植物の相談だったりと、お客さんとこくぼさんの会話は弾けるように明るく笑いが絶えない。

 

「森のなか」
「『森のなか』は友人がつけてくれた名前なんです。

とても言葉のセンスがある人で、私のお店にいて電話がかかってきて『今どこにいるの?』と聞かれて、その時に『今、森のなかにいるの』といえたら素敵だなって思ったんだといわれたんです。

言葉遊びみたいなものかもしれませんが、すごいことを考えるなと思いました。

本来、花屋に植木を置くスペースはいらないのですが、私は植木が好きでこの道に入ったということもあり、植木があることで日々の喜びを感じています。

海外のフラワーアーティストの方は山に入っていって自然に咲いている花や、枝を切ってきて生けたり花束にしたりするんです。

もちろん所有者に許可を取ってですよ。

曲がっていたり、変わった形だったり、その形のまま生けることができたなら、なんて素敵だろうなと思います」。

 

「花屋は個性の塊です」
「自分の性格と逆のことをしていると思っています。

おおざっぱだし怠けるし、片付けもきらいだし。花屋さんとしては真逆。

いくつかの花屋を経験してきましたが、本当に花屋さんってそれぞれで個性があります。

この壁面は、まだまだ変わり続けていて、終わりなく毎年違う顔を見せてくれる。

ああしようかな、こうしようかなと試すんですけれど、植物たちにも性格がありますから」とお店で一番好きな場所を教えてくれた。

個性豊かな植物たち。
移ろう季節を楽しむ森のなかへ。

■森のなか
Instagram:森のなか(@morinonaka2013)
   
(取材ライター: 高橋真理)