
TACHIKAWA
BILLBOAD
あなたの希望にあわせて体験できるHEXIONのワークショップ
HEXIONでは、利用者自身が革製品の製作に挑戦できる、ワークショップが人気だ。
レベルや予算、「やってみたいこと」にあわせ、バッグや財布、小物入れ作りなど多彩な体験ができる。
中でも最近、人気なのが「ランドセルリメイク」。
「小学校を卒業したあと、使うことはないけれど手放せない」、そんなランドセルを、新たな形に生まれ変わらせることができるのだ。
HEXIONでは、思い出が詰まったランドセルをカードケースやペンケース、小物入れなどへとリメイク可能である。
裁縫やミシンに触れたことがない人でも心配はいらない。
これまで3万人以上を指導してきた吉原夫妻が、それぞれのペースに寄り添い、楽しく完成まで導いてくれる。
小学生の体験したペンケース作りをレポート
小学生が製作したペンケース
取材当日、夏休みの自由研究としてペンケース作りに挑戦する小学生の男の子と父親が来店していた。
どのように体験を進めるのか、春樹さんに話を聞いた。
「お客様から事前に『夏休みの自由研究でペンケースを作りたい』という画像とメッセージを頂きます。
通常なら私が型紙を作りますが、今回は自由研究なので、型紙作りから教え、ペンのサイズを基に設計図を描いてもらいました」。
ペンケースの設計図
その後の素材選びやデザイン、色、ボタンに至るまで、男の子が納得するまで丁寧に付き合う姿勢には一切妥協がない。
意見を尊重しつつ、最良の形へ導くプロの姿勢に感心させられる。
ペンケース作りに必要な小物や糸、革もじっくり選ぶ
箔押し機で名前も刻印して完成
ミシン操作に不慣れで心配そうな様子を見せていた男の子であったが、終始楽しみながら作業を進め、無事に完成させた。
春樹さんは指導の工夫についてこう語る。
「最初にミシンの操作方法を一通り教えると、かえって混乱して失敗が増えるんです。
だからまずは『次はペダルを踏みましょう』といったシンプルな声かけから始めます。
ひとつずつ順を追って、小さな成功体験を積み重ねてもらう。
そうすると安心して作業に集中できると思うんです」。
さらに、夫妻はワークショップ体験者の行動や癖も観察しているという。
「この方が使いやすいかもしれない」と実用面も考慮した提案もおこなう。
長年にわたり多くの体験者を見てきたプロだからこそ気づく視点。
デザイン性だけでなく実用性も兼ね備えた製作が可能となるのはHEXIONならではの魅力である。
偶然の巡り合わせから生まれた東大和の工房
200種の革も保管されている広い店内
関西出身の夫妻に革との出会いを尋ねると、春樹さんは実家が祖父の代からカバン屋で弟も同業。
幼少期から革製品に囲まれて育った。
宏美さんは結婚を機に革の仕事に携わるようになったという。
都内での出店を目指し何度か上京したが、条件に合う物件がなかなか見つからず、床がコンクリートであることや大型機械を運び込める入口が必要など、探すのに1年以上を要した。
ある日、不動産屋から連絡を受け物件を見に行くと物流倉庫ばかりで落胆。
しかし遠方まで来たのに無駄足では終われないと夜中まで探し続け、東大和市の店舗に出会った。
当初はすでに予約済みであったが、偶然キャンセルとなり一番手で内覧が可能に。
条件も雰囲気も理想的で、その日に即決した。
縁もゆかりもなかった東大和市での開業は、まさに偶然の巡り合わせであった。
お客様のためにそろえた自慢の機械たち
「革工房にはどんな機械があるの?」と気になる人も多いだろう。
そんな疑問に応えるように、宏美さんは工房に並ぶ機械を案内してくれた。
革を裁断する機械、厚みを薄くする機械、革と革を接着する機械。
そして用途に応じたいくつものミシンが揃う。
革を薄くする機械
「製品づくりに必要な機械を知っているからこそ、理想の仕上がりに近づける、納得できる機械だけを導入しています。
たとえば革を薄くする機械も、本来なら革屋に外注する作業ですが、店内で完結できるよう取り入れました。
生産性が上がり、結果としてお客様へのサービス向上にもつながります」。
同じ用途の機械でもメーカーによって性能は大きく異なり、2人はその違いを熟知している。
製品づくりに欠かせないそれぞれの機械の役割を伺うとそのこだわりの深さが伝わってきた。
コンセプトは「お客様が頭に描いているものを形にする」
多くの工房では、職人のこだわりを気に入った客が来店するのが一般的だ。
しかしHEXIONでは立場が逆で、デザイナーはお客様。
「お客様のこんなイメージにしたい!」という頭の中のモヤモヤを、丁寧なヒアリングを通して引き出し、形にすることを大切にしている。
春樹さんは「お客様のイメージを引き出すのが一番難しい」と話す。
そのイメージをお客様自身の手で完成させるには、各工程での工夫やサポートも欠かせない。
だが、その難しさこそが達成感や喜びにつながるのだろう。
吉原さん夫妻は、お客様と二人三脚で作品を仕上げていく過程そのものを心から楽しんでいる。
「決まったものを作るのではなく、その人のイメージに変えていく。
知識や経験、提案力を総動員して満足のいく形に仕上げるのがやりがいです。
そのためにとにかく会話を重ねるんです。
話しているうちに『こうだったらどうですか』『これがしたい』とお客様から出てくる提案を形にしていくのも楽しいです」。
革製品の製造現場では決して味わえない、直に客と向き合う時間、表情が見え、喜びをその場で共有できることも、ワークショップならではの魅力だという。
HEXIONの名前は「くしゃみ」から
「HEXIONって何語ですか?」と尋ねられることもあるそうだが、実は言語ではなく「くしゃみの音」をもじったものだという。
店名はオープンの数週間前まで決まらず悩んでいたそうだが、ふと思い出したのが、かつて自分の革作品につけていたブランド名「HEXION」。
くしゃみには「噂になる」という俗信から、「噂になるお店やモノを作れる場にしたい」と名づけたそうだ。
また、真ん中のXには「クロス=交差点」の意味を込め、人々が集い体験できる場所にしたいという願いも込められている。
今後の夢を伺うと、「冗談か本気か分からないけど、子供が卒業したら、お店ではなくトレーラーハウスに設備を積んでワークショップをしながら日本を一周してみたい」と語る。
終始明るく、ユーモアと自由な発想にあふれたご夫妻らしさが伝わってきた。
■HEXION
〒207-0014 東京都東大和市南街2-112-1 HEXION
アクセス
・西武鉄道拝島線「東大和市駅」より徒歩8分
・西武新宿 高田馬場から東大和市駅へ急行約36分
・JR立川駅北口から西武バス「南街入口」下車すぐ
TEL:042-569-8247
Instagram:https://www.instagram.com/hexion.tokyo/
HP:https://hexion.jp/
(取材ライター:近藤綾子)