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玉川上水にアメリカンテイストなコーヒースタンドで理想を求める

Cafe mitten

玉川上水駅北口徒歩2分 。静かな街並みと学生街の駅近くに小さなコーヒースタンドがある。

レンガ色の壁のお店『Cafe mitten』。

店の前からコーヒーの香りがする。
店内に並ぶアメリカンテイストの焼き菓子を揃えるのが、店主のまつだなおみさんである。
写真:Cafe mitten 

2024.04.15

子供たちとの関わりを通じて得た知識を活かし念願のカフェオープンへ

店主のまつだなおみさん

西東京市に生まれ育ち、埼玉に引っ越した後に結婚。

夫の仕事の都合によりアメリカへ移住。ほどなくして東京へ戻り、出産を機にしばらくは家庭に専念していたが、下の子が幼稚園に通う頃から食育スタッフとして10年間勤めた。

月に1~2回のパン作りと、誕生会のお菓子作りが主な仕事。

子供の様子が近くから見えることで、安心して働くことができた。

下の子が中学生に上がるのをきっかけに、中野区にある0~2歳を対象とした小規模な託児所で、給食スタッフとして再び7年勤めた。

小さなキッチンで一人で、12人分の給食を週3回作っていたが、2022年3月末で退職。

カフェの開店に向けて準備を進め、夏にCafe mittenをオープンさせた。

「非日常を味わえるコーヒーと、お菓子のお店をしたい」

季節に合わせた焼き菓子

カフェの開業にあたり、一人で経営することを考えた際、玉川上水駅付近にコーヒースタンドがないことに気づき、 この場所でオープンさせることを決めた。

子供たちの健康を常に考えた給食作りや、月に一度のパンや誕生会の菓子作りに携わってきた経験を活かし、自身の作りたいカフェの形態は「パン」「菓子」「料理」の3択に絞った。

「パンは作る時間と体力を要する。料理は日々の暮らしで毎日作る。お菓子が非日常的で楽しめるのではないか」と、

好きなコーヒーと菓子をテイクアウト、イートイン、でどちらも楽しめる 形態に決めた。

店名の“mitten “は、店内に飾られている子供に読み聞かせしていたウクライナ民話の「てぶくろ」からきている。

まつださんが好きな絵本でもあり、開店祝いに託児所で勤めていた同僚の友人からプレゼントされカフェのシンボルとして飾られている。

店名の由来となったウクライナ民話「てぶくろ」

好きなお店のコーヒー豆と発掘したお店のコーヒー豆でひと息

コーヒーは好きだったがバリスタ経験がないため、カフェ起業までは機材一式とバリスタトレーニング、コーヒー豆までを国分寺のLife Size Cribe店主の吉田氏に依頼した。

他にも自身の視野を広げるために出会った面白いコーヒー豆があれば、トピックス商品として数量限定で提供もしている。

Life Size Cribeのコーヒー豆を使用したカフェラテ

自由に利用し、コーヒーを楽しんでもらいたい

同店の来店者の過ごし方は、様々。

楽しく会話する人もいれば、静かにパソコンに向かいコワーキングをする人も。

「ある程度の常識範囲の中で、皆さんに非日常空間を楽しんでもらえれば」と話す。

コーヒーも、来店者の要望に応じて、ソムリエの様に伝えている。

コーヒーが苦手な人には、コーヒーの概念を覆すテイストのコーヒーの提案をすることで、コーヒーが好きになった来店者もいる。

「多種多様なコーヒーの魅力を楽しんでほしい」と考えている。

コーヒーにこだわるアイテムもアメリカンを意識

アメリカンなお菓子でコアなお客様と出会う

店内の焼き菓子

Cafe mittenの人気焼き菓子はジンジャーケーキ、キャロットケーキ、オートミールクッキー。

市場にあまり見ないものでコーヒーとも合う菓子たちだ。

なるべく地場の野菜を使って作ることを心がけている。

ジンジャーケーキはまつださん自身が最も好きな菓子のため、強いこだわりがある。

生の生姜をすりおろして炊いて加熱することで、アクやエグミが取れたスッキリとした辛みにアレンジしている。

人気のキャロットケーキ

元祖はイギリスの菓子である「キャロットケーキ」は、他のカフェなどで見かけることも少なく、遠方から来店するコアなファンも多い人気の菓子だ。

チーズフロスティングでデコレーションした、アメリカンテイストに一貫した作りが特徴的である。

子供から大人まで求めるオートミールクッキー

オートミールクッキーは元々、子供のために補食として作っていた家庭の定番だったものを食べ応えのある大きさに変えて作っている。

親子で来店した際、子供向けに作ったものだが、プロテインブームをきっかけに大人にも人気なお菓子だという。

コーヒーはもちろん、紅茶や牛乳にも合う菓子ばかりだが、他ではあまり見ないラインナップが特徴的だ。

店内の模様

開店から2年。お店のあり方を考える

開店から2年。現在は自分のペースを模索しながら、メニューのレパートリーを見直し、外部でのイベントにも出ようと考えている。

1人で営業している中、様々なことを自分で決断してくため悩むことも多い。

そんな中、来店されたあるお客様から「どのような方法であれ、あなたが決めて作るからこそ、あなたのお店の色になるし、そこにお客様はついてきてくれる」と励ましを受け、無茶をしないように心掛けながら、来店者の声を聞き、バランス良い営業を心がけているそうだ。

訪れる人の年代や状況をみて、一人一人が非日常空間を楽しめる形で、テイクアウトやイートインできる場で居続けたいと考えている。

これまで多くのリクエストを受けた、お菓子以外のフードの提供も視野に入れている。

自分と向き合いながら、訪れる人に満足してもらえる内容。

そのバランスを見た上で自身のペースで準備を進める。。

「今後のお店のあり方で、わたしもお客様も楽しめたら…」と店主のまつださんは語った。

Cafe mitten

〒190-0002 東京都立川市幸町6-1-45-101

OPEN 毎週水~土曜日(12:00~18:00)

Instagram:https://www.instagram.com/cafe_mitten/

(取材ライター:小倉千紗)